外食チェーンなどでバイト経験がある人は分かるだろうが、日本では毎日のように「異物混入」が起きている。衛生管理をどれほどしっかりしていても、やはり人間が調理をしている以上、ビニールやら金属片やら虫などが混入する。
筆者が週刊誌記者をしていた28年前、某外食大手が提供した食事にゴキブリが入っていたということで取材をしたが、編集部ではボツになった。「日常的によくある話なのでネタとして弱い」からだ。
それは調理技術が進歩した現在もそれほど変わらない。例えば、つい先日、丸亀製麺の神戸の店舗で、食事をしたというTwitterユーザーが、かき揚げの中から「英単語帳」に使うような金属リングが出てきたことを、写真付きで投稿した。ちなみに、このユーザー、その場でちゃんと店に報告をして謝罪も受けている。(参照リンク)
また、1月23日には「マク○ナルドのポテトにカリッカリに揚がったカメムシ入ってたんだけど」というツイートが、ポテトと小さな虫の写真が投稿された。なかなか衝撃的な写真ではあるが、メディアの「後追い取材」はゼロに等しい。(参照リンク)
このように異物混入は、SNSが普及するはるか昔から現在にいたるまで日常茶飯事で、発覚したところで「ふーん、まあ、たくさん店があるからそんなことをやらかすバイトもいるよね」くらいで済む話だった。
だが、そこに世間の注目を集めるようなトレンドが加わると途端に、「食の安全を裏切る極悪卑劣な行為」に格上げされて、メディアが朝から晩までお祭り騒ぎをして、どこからともなく専門家やら評論家があらわれて、立派なご高説を垂れる「一大ブーム」になってしまうのだ。
その代表が、2014年末から翌15年にかけて日本中で大騒ぎにした、マクドナルド異物混入事件である。
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