小売業のリスキリングを推進する上での要点を下記に整理します。
(1)チャレンジマインドセット:失敗を恐れず新しいことに挑戦するマインドセット・カルチャーを醸成
(2)コラボレーションマインドセット:他部門と連携していくことが必須とされるDXにおける意識の統一化
(3)リテールメソッドの確立:小売業独自のみならず自社独自の人材育成コンセプト・リテールKPIを設計
(4)マーケティング戦略スキル教育プランの策定:普遍的なリテールマーケティングフレームワークを習得する年間教育プランの策定
(5)リテールテクノロジーの知見(ITベンダー、グローバル事例等)・導入ノウハウの習得プラン設計
(6)成果検証、事例共有をするシステムの構築:取り組み好事例・成長指数等の共有
1月、米・ニューヨークで世界最大のリテールイベント「NRF Retail's Big Show」が開催されました。こうしたイベントに若手社員が毎年参加できるように、予算を確保することも大切です。
世界最先端のリテール企業がどのようなことに取り組んでいるか直接確認し、展示会場周辺にある注目店舗も視察することで、視座がひとつ高くなるきっかけにつながります。
NRFは、世界最大の小売業界団体である全米小売業協会(National Retail Federation)。会長はウォルマートのCEOでもあるジョン・ファーナー氏。NRFが毎年開催するRetail's Big Showには、リテールテクノロジーに特化した800以上の企業が出展します。さらに、350人以上のスピーカーが世界中から集結し、世界99カ国から約4万人の参加者が訪れる世界最大のリテールイベントとして注目を集めています。
リスキリングは、デジタルに乗り遅れがちな人ほど必要になるテーマです。「デジタルは若手や部下に任せておく」という意識の経営者、経営層がいた場合大変危険です。そのような経営層こそ、リスキル(スキルの再構築)が必要であり、率先垂範しなくてはなりません。
また、社員のスキル・実力を上げるということは、本人の市場価値を上げることにもつながります。そして、転職の可能性が高まるだけでなく、フリーランスとして生きていける地力が備わっていくことになります。
せっかく教育した社員に転職されては本末転倒という捉え方ももちろんあるでしょう。しかし、社員が実力をつけてもなお、自社に在籍し、貢献していきたいと思ってくれるような企業としての総合的魅力を向上させることが大切です。企業として研さんすることは、必ずプラスになることでしょう。
業務の効率化、その先にある業務の高度化、そして従業員のスキルと意識の変革による強固な組織構築。愛社精神に基づく社員の定着化。そのためには新たなチャレンジや成長を奨励、促進する風土と仕組みの醸成が必要になります。
これは経営者の旗振りなくして成せる業ではありません。
経営者の推進力とともに、従業員の意識、リスキリングをサポートする教育プログラムの充実化を迅速に進めていかなくてはなりません。
普遍的な社員教育というテーマに聞こえなくもないのがリスキリングです。しかし、デジタルの普及により、大きなスキル・意識変革が必要となるタイミングを迎えており、それが企業の業績に多大な影響を与える時代になっています。つまり、避けては通れないテーマとなっています。
経営層が謙虚に初心に立ち返って、勉強好きという素直な心持ちで臨んでいただくことを願うばかりです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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