リテール大革命

小売業で「リスキリング」はどう進める? DXを成功に導く8つのポイント経営者の覚悟が必要(1/3 ページ)

» 2023年02月20日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

WEB3.0専門のコンサル会社 マーヴェリック株式会社 COO(Chief Operating Officer)

城北宣広株式会社(広告業)社外取締役

著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。

2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。

2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。

日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。


 2020年のダボス会議において、「リスキリング革命」が発表されました。リスキリング革命とは、第4次産業革命に伴う技術の変化に対応した新たなスキルを獲得するために、30年までに10億人により良い教育、スキル、仕事を提供するという取り組みです。

 日本においても、経済産業省が「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を立ちあげ、厚生労働省の「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」と連携して助成金を出す仕組みをつくり、これからの時代に必要な新しいスキルの獲得を支援しています。

 人材教育は長年各企業が取り組んできたテーマです。リスキリングというワードに注目が集まっている理由には、デジタルの進化が大きく影響しています。

DX人材をどう育成する?(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

コンサル業界のトレンド

 コンサルティング会社を例に挙げてみましょう。

 2000年から2010年くらいにかけて、コンサル会社は調査やレポート作成、分析などを盛んに行っていました。さまざまな情報を調べ、それをExcelに打ち込みグラフにしたり、PowerPointの資料を作成したりして、プレゼンしていたのです。クライアント側にはそのような情報や整理された資料がなかったので、コンサル会社から提示された資料をもとに、次なる打ち手を議論してきました。それが昨今では完全に様変わりしています。

 分析する作業をコンサル会社に依頼するのではなく、自社独自で分析したり、リサーチシステムを構築したりすることを目指しているのです。以前であれば、コンサル会社に依頼して3カ月後に資料が提供されていましたが、いまでは瞬時に出来上がる。そうした設計・実行をコンサル会社が支援するようになっています。

 まるでコンサル会社が自分たちの仕事を無くすためにコンサルティングをしているような不思議な構図です。

 パッケージ化されたシステムをそのまま活用すれば事は足りるかというと実際にはそうはいきません。各業種、各企業によって業種特性を加味した項目やKPIの設計が求められます。また、管理の仕方も異なるため、パッケージ化とカスタマイズのハイブリッドな支援が必要とされます。よって、各業界に対する高い知見と戦略を加味したKPI設計、システム導入のスキルまで幅広く求められます。

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