ちなみに為替の影響で減益とはなりましたが、想定よりは円高が進んだ影響で利益進捗(ちょく)は順調に推移したとしており、営業利益の進捗率は第3四半期時点で95.4%となっています。
1月以降も為替は落ち着いていることもあり、業績の上振れの可能性は非常に高いと考えられます。とはいえ減益の決算となっていますので、値上げをしなかったことによる利益面への悪影響は一定程度出ていたと考えていいでしょう。今後は値上げを含めて対応していく可能性は十分にありそうです。
既存店の月次の売上高の推移を見ていくと、多少の減少する月はあるものの、21年3月期の第3四半期以降は成長が続いています。
客数と客単価の推移を見ていくと、値上げは抑制しているため単価は横ばい傾向が続いていますが、客数は増加が続いています。
客数の増加によって売上高の増加が続いており、集客面は好調なことが分かります。
直近の第3四半期の販売状況を見ても、既存店では客数が2.6%増加、客単価は1.3%の増加と、客数増加が増収の主要因となっています。
続いて商品別の売上高を見ていくと
となっていて、全商品カテゴリーが好調です。
規模は小さいながらも、特にレディース・ユニフォームが好調です。中でも、レディースパンツが88.4%増、サマー女性トップスが94.7%増など、女性向けのアパレルが大きく伸びています。
多くの企業が値上げを進める中で、値上げ抑制の方針を取るのは価格面に敏感な女性層を取り込んでいる可能性が考えられます。
売り場スパン数の推移を見ても、女性を28スパン増やし大きく伸びており、女性向け商品を積極的に展開しています。今後も女性層を取り込めるかが業績にとっても重要になってきそうです。
物価上昇による影響としては、一般向けではほとんど見られていないとしていますが、必需品の高騰が続いており、アパレル消費の減速は懸念されているとしています。
法人に関しては業績悪化の懸念から買い替え需要に慎重さが見られるが、PB価格据え置き効果で合い見積もりの件数が増加基調だと同社は発表しています。法人顧客に対しては価格据え置きの効果が出ているようです。
値上げを抑制していたのも、ある程度安定して需要が見込める法人向けのシェアをさらに伸ばしたいという意図もあったのかもしれません。ここで法人顧客をしっかり取り込めるかは今後注目です。
ワークマンでは、売り上げは堅調ですが、利益面では円安の影響もあり増収減益となっていました。
価格据え置きの効果としては、一般顧客の集客は堅調で法人顧客に関しても合い見積もりが増加と好調です。法人顧客を取り込めるかは重要になりそうです。
しかしコスト増加によって減益ですから、値上げも十分に考えられる状況のため今後の展開に注目です。
決算は現場にある1次情報とメディアで出てくる2次情報の中間1.5次情報です。周りと違った現場により近い情報が得られる経済ニュースでもあります。上場企業に詳しくなりながら、決算書も読めるようになっていく連載です。
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