海外の最新事例でプロアクティブサポートを実現している例として「ハーレーダビッドソン」が挙げられます。ハーレーでは新車を買ったお客さまから、春先に「エンジンがかからない」という問い合わせが殺到していました。その原因の多くが、冬の間、ガレージで保管している間にバッテリーが上がってしまったことだと気付きます。以来ハーレーでは、新車ご購入者の方へ、冬の間にバッテリーチャージャーをお薦めするようになったそうです。顧客の声(VoC)を予知的なコミュニケーションに変えた好事例です。
一方、日本国内はどうでしょうか。プロアクティブエンゲージメントが重要テーマに挙がることはまだ少ないと感じます。しかし、「パーソナライズされた顧客体験の提供」や「エフォートレスな問題解決・不満解消体験の提供」というキーワードが業界内で話題になるなど、プロアクティブエンゲージメントと近い取り組みが意識されています。
日本国内では、まだセルフサービスの構築に取り組んでいる最中の企業がほとんどです。ただ、この土台づくりのころからプロアクティブサポートの知見を深めていくことは重要だと考えています。というのもプロアクティブエンゲージメントの考え方を、FAQやチャットボットなどセルフサービスに注入すると、セルフサービスの成果が向上することが分かってきているからです。今回はそちらの例をご紹介しましょう。
オルビスさんの事例です。オルビスさんではお客さま向けに「肌カ.ル.テ」というスマートフォンアプリをご提供しています。カスタマーサポート専用のアプリではないですが、お客さまの日々のお肌の悩みに寄り添うようなコンテンツの配信や、スキンケアをサポートしていくための相談窓口としてチャットボット・有人チャットが活用されています。
リアクティブなサポートだけでなく、その人自身に合ったパーソナライズされたサポートを提供している点が新しいなと感じています。お肌の状態は、天候や身体のサイクル、生活習慣などさまざまな要因で日々変化します。そのような変化の中で生まれる不安や疑問に対して、美容のプロであるビューティアドバイザーが対応する有人チャットと、同社の美容理論を詰め込んだチャットボットを組み合わせることで、さまざまなお悩みを速やかに解決することを可能にしています。
オルビスさんだけではなく、化粧品業界では「パーソナライズ」が大きなテーマになっている業界なので、先進的なお取り組みにつながっていると感じます。
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