「オートミール」市場急拡大 これまでの健康食品ブームと何が違うのか?長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/8 ページ)

» 2023年03月07日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

コロナ禍で突出したブレーク

 マーケティングリサーチ会社のインテージ(東京都千代田区)が発表した、「2022年、売れたものランキング」によれば、オートミールは検査薬に次いで2位に入った。

「2022年、売れたものランキング」(出所:インテージ公式Webサイト)

 このランキングは、全国約6000店から収集した小売店販売データ、SRI+(全国小売店パネル調査)をもとに、日常消費財の中で何がより売れたのかを、推定金額の伸び率から割り出したものだ。データは、22年1〜10月のものを使用し、前年同期比で順位を付けた。

 2位のオートミールは、前年比156%となっており、食品分野ではトップだ。ちなみに1位は「検査薬」(277%)、3位は「鎮暈剤(ちんうんざい)」(146%)だ。医薬品が1、3位に入って上位を占めているのは、コロナ禍ならではである。

 食品分野のベスト5は、2位のオートミールに続いて、6位「乳酸菌飲料」(131%)、7位「液体だし」(123%)、14位「冷凍水産」(113%)、15位に「サラダ油・天ぷら油」(113%)が入っている。

 着目すべきは、コロナ前の19年比で、オートミールは1280%とダントツの伸び率であったことだ。上位15位までで、19年比1000%を超えたのはオートミールのみだ。19年比で次に高い伸び率を示したのは261%の検査薬なので、オートミールがコロナ禍でいかに突出して大ブレークしたのかが示されている。

 インテージではオートミールがヒットした要因として、「コロナ太り対策や腸活などの需要を取り込んで女性を中心に愛用者も増えたほか、水を加えて加熱させお米のようにして食べる米化など使用方法が拡大した。朝食だけでなく昼食や夕食でも食卓に並んでいる」とまとめている。お米にようにして食べる「米化」の普及がポイントだ。

 なお、オートミールは21年は1位(291%)で、22年は前年より伸び率は落ちたものの、1年で1.5倍に市場が急拡大している。

大人の主食になりつつある

 レシピ動画プラットフォーム大手「クラシル」では、メールマガジン会員の4035人を対象に、「コロナ禍がもたらした食意識の変化」を調査し、22年9月に発表した。

 この調査には、「オートミール+○○検索」の順位が公開されている。

「オートミール+○○検索」の順位(出所:プレスリリース)

 19年、ベスト5はクッキー、バナナ、離乳食、ホットケーキミックス、パンケーキの順であった。

 ところが22年は、お好み焼き、バナナ、クッキー、リゾット、パンケーキの順となった。

 19年には6位だったお好み焼きが1位に躍り出た。同じく8位だったリゾットも4位に浮上している。一方で、離乳食とホットケーキミックスはそれぞれ3位と4位から、26位以下に後退した。コロナ前の注目されていなかった頃は、オートミールは乳幼児が主食である米や小麦に移行する前に使われる傾向が高い食材だったのが、今や一部で大人の主食になりつつあることが示されている。

 これについてクラシルでは、「おやつよりも、ご飯としてのニーズが増加している」としつつも、「スイーツレシピも継続して検索されていることから、健康ニーズに加え、食事からスイーツまで使える汎用性が高い食材であることも食卓に定着した理由」としている。

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