ヌートバー選手で注目の「ペッパーミル」 元祖は自動車メーカーのプジョー意外な歴史(1/3 ページ)

» 2023年03月22日 06時00分 公開
[ITmedia]

連載:仕事に役立つ企業トリビア

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 野球の世界一決定戦「ワールドベースボールクラシック」(WBC)を戦う“侍ジャパン”こと日本代表に、日系人として初めて代表入りしたラーズ・ヌートバー外野手(セントルイス・カージナルス所属)の“ペッパーミルパフォーマンス”に注目が集まっている。その影響で、東京都内の専門店では実物の「ペッパーミル」の販売が好調だ。そんな注目のペッパーミルの元祖は仏自動車メーカーのプジョーだという。自動車メーカーがなぜペッパーミルを手掛けているのか。歴史をたどった。

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photo ペッパーミルパフォーマンスを行うヌートバー選手(出典:WBC公式Webサイト)

世界最古の自動車メーカー 1889年のパリ万博で初披露

 欧州カーオブザイヤーを計6度受賞するなど、現在、ルノーとともにフランスを代表する自動車メーカーとして知られるプジョー。1889年のパリ万国博覧会で蒸気三輪車を発表し、自動車業界に本格参入した。

photo プジョーが開発した蒸気三輪車(出典:プジョー公式Webサイト)

 86年にドイツ人技術者カール・ベンツが発表した原動機付き三輪車が「世界初の自動車(ガソリン車)」とされる一方、プジョーは量産体制を整え、大量生産を始めたことから「世界最古の自動車メーカー」とされている。

photo 世界初の自動車はベンツ(出典:メルセデス・ベンツ公式Webサイト)

 だが、プジョーは最初から自動車を製造していたわけではない。もともとは、製粉業者だった。1810年、ジャン=ピエール・プジョーとジャン=フレデリック・プジョーの兄弟が、スイスとの国境に近い仏東部エリモンクールを拠点に、家族経営の製粉業として創業。直後に製鉄業に切り替え、水車小屋を鉄鋼作業所に改造してのスタートだった。

photo 水車小屋からスタート(出典:プジョー公式Webサイト)

 同社は工業製品メーカーとして、のこぎりや斧、かんななどの大工道具、農業用のフォーク、馬の蹄(ひづめ)を削るナイフ、左官ごて、床屋の剃刃など数々の鉄製品を生産した。

photo プジョーが手掛けた鉄工具(出典:プジョー公式Webサイト)
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