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コロナ禍で得たものとは? JTBが「学び」で組織風土を変革する理由「自律創造型人財」を育成(3/6 ページ)

» 2023年03月22日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

コロナ禍で「学ぶスタイル」を多様化

 JTBユニバーシティは、もともと集合研修を中心に、グループ社員に学びの機会を提供してきた人財開発機関。近年はキャリア開発、そしてコロナ禍をきっかけにその機能も変化している。

 田中氏は「コロナ禍による人流の停滞を受け、経営・事業環境の悪化から、一時的に学びの提供を限定あるいは止めざるを得ない状況になりました。そのため、『学びを止めない』を合言葉に、学びの『仕組み、仕掛け、仕切り』づくりに工夫を凝らしました。振り返ると、コロナ禍があったからこそ改革が進んだと思います」と話す。

 20年以降は集合研修を大きく減らし、eラーニングやウェビナーといったオンライン研修を中心に提供。制限がある中で学びの機会を提供し続けた。特に、店舗の休業期間中の社員には、学びを促すコンテンツを配信し、「学ぶ機会は減らさず、学ぶスタイルを多様化する」(田中氏)ことを目指した。

「学ぶ機会は減らさず、学ぶスタイルを多様化」することを目指した(JTB提供)

 一方、オンライン研修の拡充は、学びの機会提供や負担軽減に大きな効果をもたらした。「子育て中の社員など、これまで時短により研修の受講を諦めていた人たちがたくさんオンライン研修を受けてくれるようになりました。また、全国の勤務地から東京に来てもらう負担も軽減し、時間の有効活用につながっています」(田中氏)。結果的に、一人一人が「必要な時に、必要な学び」を得られるようになり、主体的・能動的な学びを促進している。

 現在は集合研修の実施も徐々に増えているが、「コロナ禍の前に戻すつもりはない」という。集合研修は全体の3〜4割にとどめ、研修の目的と対象によって方法を選択するハイブリッドで運用していく方針だ。

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