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コロナ禍で得たものとは? JTBが「学び」で組織風土を変革する理由「自律創造型人財」を育成(6/6 ページ)

» 2023年03月22日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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コロナ禍で生まれた危機感、“学び合い、学び続ける組織”へ

 もちろん、個人の考えや成長意欲に差があるのは当然だが、その上で「“学び合い、学び続ける組織”をつくり、社員を成長させることが会社の使命」だと田中氏は言う。なぜなら、個人や組織として成長を実感できる会社でないと、人が集まらない時代になってきたからだ。

 「初等教育の段階からキャリア教育を受ける機会が増えているため、キャリア意識の高い若手社員が増えています。そのため、自分や周りの成長を実感できない環境だと辞めていってしまう。“学び合い、学び続ける組織”の風土醸成がますます求められているのです」(田中氏)

 組織風土を変えるのは簡単ではないが、同社では“半径50センチから変えていく”ことを意識し、社員への啓蒙(けいもう)動画を作成したり、「学び」をテーマにしたオンライン社内イベントを開催したりするなど、取り組みを進めている。初回だった21年のオンライン社内イベントに比べて、22年の2回目の開催では、社員参加のプログラム数が約3倍、視聴者数は約5倍の約7200人に拡大。学びへの関心が徐々に広がっている。

社員参加型の手作りイベント「学びの Summer Festival」。6つのテーマで社員がプログラムを企画(JTB提供)

 また、コロナ禍による経験が組織風土に与える影響も大きかったようだ。田中氏はこう話す。

 「コロナ禍ではみんな相当悩みました。しかし、それによって健全な危機感が生まれました。『これまでの延長では未来はない』ということを全社員が理解し、その危機感によって自己成長の意欲が高まったように思います。今は急激に需要が戻り、業務が忙しくなっていますが、そんな中でも学びを止めないために、“学び合い、学び続ける組織風土”を実感できる会社にしていくことがこれからの課題です」

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