嫉妬心を抱いた時の上手な付き合い方をいくつかご紹介します。
(1)嫉妬の原型を崩して切り離す
嫉妬心は、羨望と妬みが入り交じった感情といえます。そして、自分と同等だと思っている人、もしくは完全に格下だと思っていた人が結果を出したときや、周りから評価されたときなどに抱く感情です。
私達は手の届かない相手には、嫉妬ではなく憧れの感情を抱きます。嫉妬したときは、「うらやましさ」と「妬み」を切り離し、羨望の気持ちが自身にあることをそっと受け止めてみましょう。そうすることで、自分が本当はなりたいもの、欲しいものに気付くことができます。
(2)結果までの過程に目を向ける
私達は、他者の実った赤い果実だけを見て、ひがんだり妬んだりしてしまう時があります。
しかし、どんなに結果を出している人でも、必ず陰で努力を重ねています。まずは、嫉妬したその人の努力の過程に目を向け、「すごいな」という気持ちとともに敬意をはらってみるのはいかがでしょうか?
「なかなかできないことだ」「頑張ったんだな」「どうやって努力したんだろう」――こんな風に、結果だけでなく、そこまでたどり着いた道のりに目を向けてみると、「よし、自分も頑張ろう!」といった気持ちになってくるはずです。
(3)「嫉妬はチャンス」と考える
嫉妬は自分に「あなたもできるよ」という可能性のサインを送ってくれています。なぜなら、私達は興味のないものには、関心を寄せないからです。
「本当は自分もあんな風になりたいのかもしれない」「自分はまだやっていない。挑戦してみようかな」
嫉妬心が沸き上がってきたとき、静かに自分の気持ちと向き合うと、知らなかった自分に出会えるかもしれません。自分が何に嫉妬しているのかが見えてきたら、そんな自分に許可を与え実際に行動してみましょう。新たな可能性のチャンスです。
人は苦しいときや悩んだとき、自ら努力するよりも、他者の足を引っ張ったり、相手に責任があるのだと他人のせいにしたり、安易でラクな方を選んでしまいがちです。しかし、ネガティブな感情には多くの可能性が秘められています。
苦しい感情を抱く自分にOKサインを出すことは難しいかもしれません。しかし、どのような感情も自分の大切な一部であると考えることができれば、私達は自分の最高の応援団になることができます。こうして、自分への信頼感を、自分自身で満たし、仕事も頑張っていきたいですね。
北海道生まれ。一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定「産業カウンセラー」。日本人間性心理学会所属。上智大学グリーフケア研究所所属。防衛省、国土交通省、財務省をはじめ、国立機関や一般企業にて産業カウンセラーとして臨床経験を積み、現在航空自衛隊外部カウンセラー。幼少期に母が他界。亡母が闘病中に書き記していた日記を見つけ、職場での人間関係の悩みやストレスを驚くほど抱えていたことを知る。さらに、日本で初めてカウンセラー制度を導入した機関にて母が勤めていたことをきっかけに、職場のストレスや人間関係の悩みを抱えている方たちの力になりたいと強く思い、産業カウンセラーを志す。また、死別の苦しみや痛みをケアする「グリーフケア」の普及啓発にも積極的に取り組む。心理臨床オフィス「サクラメント函館東京カウンセリングオフィス」代表。著書に『嫉妬のお作法』『「女子ボス」のトリセツ』(フォレスト出版)がある。
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