街のいたるところに看板を見かけて、ロードサイドだけではなく、商業施設のフードコートなどにも出店するようになると、「贅沢品なのになんか安っぽいな」という印象を消費者に与えてしまう。そうなると当然、客足も落ち込むのでフランチャイズは苦戦する。
しかし、高級食パンやステーキという単価が高いものを扱っているので安売りもできない。そうなると、FC本部としては、売り上げ確保とさらなる成長を目指すということで、さらに出店を加速していかなければいけないので、「最近よく見かける高い店」という認知がどんどん広まってしまうのだ。
しかも、この悪循環が恐ろしいところは、拡大路線から方針転換して、規模を縮小してもブランドを回復しないことだ。「最近よく見かける高い店」が大量閉店すると、「やっぱり高い価格に見合うものじゃなかったんだ」とネガティブな印象を受けるので、消費者の足はさらに遠いてしまう。
厳しい言い方だが、高級食パンとステーキという贅沢品であるにもかかわらず、全国制覇を掲げた段階で、このような負のスパイラルに巻き込まれることはもう決まっていたのだ。
「事業というものは当然、成長していかなければいけないのだから、外食や小売が拡大路線を目指すのはしょうがないのでは」と思うかもしれない。だが、そのような考え方は「オワコン」だと言わざるを得ない。
今のコンビニや外食チェーンが「全国制覇するのが当たり前」と言わんばかりに拡大路線をはじめたのは、1970年代である。当時、日本の人口はまだ右肩上がりで増えていたので、店の数を増やせば増やすほど成長できた。同一商圏内で大量出店してロイヤリティを高める「ドミナント戦略」を進める企業も増えた。
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