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平気で「眠らない」日本人が知らない、睡眠不足がもたらす残念な結果働き方の「今」を知る(1/6 ページ)

» 2023年03月29日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]

 本年4月に発足する「こども家庭庁」が、職員の健康保持のため「終業から次の始業までの勤務間インターバルを11時間確保する」など働き方の基本方針を発表した。

 この取り組みは、子ども政策を担う同庁自体が率先して働きやすい職場環境作りを行い、足元から子育てとの両立を目指すためものだ。

こども家庭庁が、「終業から次の始業までの勤務間インターバルを11時間確保する」など働き方の基本方針を発表(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 勤務間インターバル以外にも「男性職員の1カ月以上の育児休業取得率100%」「家事・育児時間を前年度より増加させる」といった目標を設定。小倉將信担当相は「こども家庭庁が霞が関での働き方改革のトップランナーになる」と意気込んでいる。

 中央省庁では長時間勤務が常態化しており、働き方改革の推進は急務だ。「インターバルよりも、適切な業務配分と人員配置が重要では?」「そもそも長時間労働の元凶である国会対応を見直すべき」(参照記事)といった意見もあるが、より良い政策を立案するためにも、働きやすく持続可能な組織であることは重要で、国のメリットにもなり得るだろう。

 まずは子ども家庭庁から改革を実践していき、中央省庁全体で働き方を見直す端緒となることを期待したいところだ。

日本人の睡眠時間は短すぎる

 勤務間インターバルが求められる背景には、日本人の睡眠時間が短すぎるという課題がある。

 22年10月、日経新聞において「眠れない日本、生産性低く」と題した記事が報道され話題となった。

 各国の睡眠時間と労働生産性の関係、企業の利益率などの関係性を調査したところ「社員の睡眠時間の多寡で、企業の利益率に2ポイントの差が生じる」「日本人の睡眠時間は欧米主要国平均より1時間近く短い」「睡眠の質の低さが、パワハラやミスの温床になる」といった結果が示され、睡眠不足はもはや個人の問題ではなく、社会全体の課題として解決する必要性が説かれていた。

 実際、睡眠不足が人体と労働に多大な悪影響を与え、労働生産性を損なうことについては、これまでさまざまな研究がなされ、警鐘が鳴らされている。いくつか事例を紹介する。

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