WBCの日本優勝で野球ゲームにも追い風

» 2023年03月28日 12時25分 公開

この記事は、Yahoo!ニュース個人に3月23日に掲載された「WBCの日本優勝で野球ゲームにも追い風」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


 野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表が優勝しました。大谷翔平選手が9回に登板し、米大リーグ屈指の打者・マイク・トラウト選手を三振に打ち取り、喜びを爆発させる姿に感動を覚えた人も多いでしょう。テレビやネットニュース、SNSはWBC一色でした。

photo トラウト選手を打ち取り、雄叫びをあげる大谷選手(出典:WBC公式Webサイト)

 そんなWBCの盛り上がりを受けて、ゲームの動向にも変化がありました。スマホの野球ゲーム『プロ野球スピリッツA』が、iPhone向けなどのダウンロードサービス「App Store」で、並み居る人気ゲームを押しのけ、ゲームランキングのトップになりました。

 スマートフォンのゲームは、特定の人気ゲームがつねに上位を独占する傾向にあります。「App Store」でいえば、『ウマ娘』と『モンスターストライク』がトップを争っていました。プロ野球スピリッツAも、人気作の一つですが、この二つの壁は高かったのです。

 さまざまなスマホゲームのランキングデータが開示されていますが、そこでもプロ野球スピリッツAの躍進が表れています。デーリーのデータを追うと、WBCが始まる前はあまり変化が見られなかったものの、開幕の中国戦、第2戦の韓国戦で一気に急伸。その後もそのまま上位にランクインし続けていました。世間の盛り上がりと、ランキングの変動が比例しているともいえるでしょう。

 さらに言えば優勝直後に、ゲームを手掛けるコナミデジタルエンタテインメントがプロ野球スピリッツAで、大谷選手や山本由伸選手、村上宗隆選手らWBCの選手が登場、ゲーム内で獲得できる企画を始めました。日本代表のユニホーム姿の大谷選手を見ると、思わずゲームがやりたくなる人も多いでしょう。

photo 『プロ野球スピリッツA』の大谷選手(出典:コナミのプレスリリース)

 基本利用料アイテム課金のスマホゲームは、ゲームを遊ぶ人をいかにして増やすかがビジネスモデルの要です。そのためには、世の中の動きに敏感に反応しなくてはいけないうえに、ゲームは手間がかかるので何かと大変なはずですが、スピーディーな動きはさすがです。権利の調整もある中で、当たり前をキチンとできるかが大切なのです。

 スポーツゲームの売れ行きですが、実は日本代表の活躍と相関関係があります。日本代表が世界大会で快進撃をすると、ソフトが急に売れたり、アプリのランキングが伸びるのです。

 サッカーのワールドカップでは日本代表が勝つと、パッケージゲームの売り上げがその週は数倍に増えたりします。ラグビーのワールドカップで日本代表が同じく勝つと、スマホゲームのダウンロードランキングで、ラグビーのゲームが何本も上位にランクインしました。

 ちなみに逆に日本代表が負けると、売れるような動きはありません。“神頼み”になるのは確かですが、それだけに勝てば追い風……プロモーションの効果は抜群といえるでしょう。

書き手:河村 鳴紘(かわむら・めいこう)

ゲーム、アニメ、マンガなどを主戦場にするフリーランスのサブカルライター。ヤフーオーサー、マンガ大賞選考員。メディア所属時には、決算会見や各発表会に参加し、独自記事なども執筆。20年以上ゲーム業界を中心に取材している。2020年5月、「ドラゴンクエスト」大ヒット連発なぜ? 30年前の伝説の熱狂」でヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞した。「文春オンライン」や「Number Web」(ともに文藝春秋社)などでも記事を執筆。静岡放送などでラジオに出演することも。

ヤフーニュース個人:「河村鳴紘のエンタメ考察記

Twitter:@kawamurameikou

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