これに先駆け3月15日から販売する新しいケーキ「キャラメル&バニラ香るトルテ」「カカオ&ナッツ香るチョコトルテ」(いずれも367円) のスポンジは、卵を使わず、代わりに乳タンパクに使用している。ただしこの2商品はクリームなどに卵を使用しているためアレルギー対応商品ではない。
同社は2002年以降、卵や小麦、乳を使用していないケーキを手掛けてきた。アレルギーに悩む子どもたちにケーキのおいしさを届けようと開発された商品で、クリームは乳の代わりに豆乳を使用し、スポンジには卵の代わりに大豆たんぱくを使用。さらに小麦粉の代わりに米粉を使用している。
これらのアイスやケーキは、昨今の卵不足に対応して開発された商品ではないが、これまで培ってきた卵を使用しない菓子作りのノウハウを生かした商品となっている。こうした技術があれば、今後、さらに深刻な卵不足などの事態に陥った際の代替手段ともなりえ、安心材料になる。
中島さんは「当然、卵には卵の良さがある。卵不使用の商品も、おいしさが担保できなければ販売できない」と話す。ノウハウと味が両立して初めて商品化に結び付く。
農林水産省の資料によると、卵不足の原因となった今シーズンの鳥インフルエンザは22年10月28日に1例目が確認されて以来、4月3日時点で26道県83事例が発生。過去最多となる約1740万羽が殺処分の対象となっている。さらに拡大する恐れもあり、卵不足の解消の目途は立たない。
事態が深刻化する中で値上げに踏み切らざるを得なかったシャトレーゼだが、このタイミングで卵を使用しない菓子商品を新たに展開できたのは、アレルギー対応商品の開発をはじめ、商品の改良を着々と進めてきた成果といえそうだ。商品の不断の改良が、不測の事態に直面した際の安心材料につながっている。
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