新メニューである焼き鳥丼の特徴は、にんにく醤油たれによる濃い目の味付けと香ばしさだ。味付けについて千葉リーダーは「にんにくを使っていることに加え、濃い目に味付けをすることで食欲をそそり、スタミナもつくようにした。新メニューとして味のインパクトも重視した」と話す。
濃い目の味付けで、にんにくを使っているため、一見すると男性を意識した商品のように見える。だが、意外にもターゲット層は「全年代の男女」(千葉リーダー)と幅広い。理由として、千葉リーダーは「コロナ禍でマスク着用が増えたことで、女性でも臭いを気にせず食べる人が増えた。在宅勤務や黙食ニーズの増加で、女性が1人で来店して、しっかり食べる人も増えた」と説明する。
以前から準備していたメニューだったため、商品化自体は難しくなかったという焼き鳥丼。焼き鳥チェーンでも通常メニューとして提供する企業があり、認知度も高く、都内10店舗で試験販売しても、焼き鳥丼は親子丼と同等の販売数を記録した。
だが、実際に販売して見えた難しさもあった。牛丼や豚丼など吉野家はこれまで、煮込みメニューが中心だったが、焼き鳥丼は調理過程で具材を焼く必要があるからだ。吉野家では、最適な状態で商品を提供できるようピーク時間帯に合わせて、具材の調理量などを調整している。煮込み過ぎることで、肉が固くなったり、水分が飛び、味が濃くなったりするのを防ぐためだ。
過去の販売データなどを基にコントロールしている一方、焼き鳥丼のような焼きメニューはデータの蓄積が少ない。注文が入った後にフライパンで炒めるため、千葉リーダーは「地道に時間をかけていくしかない」と強調する。
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