富裕層の外国人旅行者の需要を見込み、日本初となる外資系の超高級ホテルが都内に相次ぎ進出している。4月4日、JR東京駅前にイタリアの高級ブランド、ブルガリが「ブルガリ ホテル東京」をオープンした。今秋にかけてハイアット系列の「ホテル虎ノ門ヒルズ」、アマン系列の「ジャヌ東京」などが開業を控える。なぜいま、超高級ホテルの日本初進出が相次いでいるのか。ホテル評論家の瀧澤信秋氏に話を聞いた。
4日オープンした「ブルガリ ホテル東京」。三井不動産が手掛けた東京ミッドタウン八重洲のハイフロアである40〜45階に開業した。ツイン・ダブルルームを中心に、ラグジュアリーなスイートルームなど全98室を展開する。イタリア屈指の高級家具ブランドでそろえたインテリアが売りとなっており、1泊25万円から。400平方メートルを有する最高級の「ブルガリスイート」は1泊400万円以上となる。
「ホテル事業は巨額の費用がかかる事業。勝つためには、他のホテルがやっていないことをやらなくてはいけない。外資系でいえば、今までにないブランドを持ってくれば話題性が高まる」(瀧澤氏)
外資系ホテルが日本に続々進出する背景には、ホテルの所有と運営を分離する「運営委託方式」(MC方式)も関係しているという。
日本の伝統的な高級ホテルシーンにおいて、かつては土地・建物の所有者がホテルの経営まで担う「所有直営方式」が一般的だったが、現在の高級ホテル一般でいえばMC方式が主流となっている。この方式では、ホテルの土地や建物を所有する企業がホテル経営の子会社などを設立し、外資系ホテル企業からブランド名を借りてホテル経営にあたる。外資が運営を担うケースなど様々ではあるが、いずれにしても所有と運営が分離されていることは常識となっている。
例えば2003年に東京・六本木ヒルズにオープンしたグランドハイアット東京は、森ビルが所有し、子会社の森ビルホスピタリティコーポレーションが運営にあたる。外資系ホテルにとっては自らホテルを所有せず、ブランドの名前を貸す「ブランド商売」というわけだ。
この運営方式では、ホテルの所有企業はホテル事業のリスクを低く抑えられ、外資系ホテルにとってはブランド拡大、不動産事業のリスク低減といった双方にとってのメリットがうまれる。この方式が日本への外資系ホテル進出を促した一つの要因だという。
「ブルガリ ホテル東京」も所有者は三井不動産。同社が手掛けた東京ミッドタウン八重洲にホテルを誘致すれば人の交流が生まれる。瀧澤氏は「外資系ホテルが進出しているというよりは、再開発エリアに外資系ホテルを持ってきたという表現が正しい」と説明する。
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