2020年代に入って、中国の自動車メーカーの伸びがすごい。ただそれがどういう理由であるかを一応押さえておいたほうが良い。というよりそれを理解しておかないと、今世界中の自動車メーカーが直面している経営課題が見えてこない。
まずは、特にBEV領域における中国製自動車の実力を理解しておくべきだろう。価格も含めた総合的な商品力において、ここ数年、中国製の自動車は明らかに頭一つ抜け出した。端的な言い方をすればコスパが良い。安かろう悪かろうという意味ではない。走行性能においても、もはやバカにできる状態ではない。
極めて深刻な話として、もし今の延長線上で事態が推移すれば、世界の自動車メーカーの過半は中国に敗北を喫することになる。長年馴染んできたブランドが失われるのは極めて残念な話だが、それは避けられないだろう。
ただし、そんなことに至った筋道には多くの問題をはらんでいる。第一に世界が追従できなかった低価格の原因があまりにもダークであること。価格が安い最大の原因は、国ぐるみのダンピングが大きい。中国は15年に「中国製造2025」を発表し、10ジャンルの重点項目について、世界一を奪取する戦略を始動した。
以来、重点ジャンルには巨額の補助金を入れて、価格競争力を高めてきた。という話は筆者が勝手に言っているわけではなく、18年の米中貿易協議以降、米国政府が中国に対して公式に見直しを要求してきた上に、以後の経済制裁の理由にも掲げている。
もちろん米国の言いがかりである可能性はゼロではないが、筆者は米国と中国で言い分が異なる場合、米国のほうが信用できると考えている。
米国にも問題は多々あるのは承知だ。米国も中国も“ジャイアン”であることは確かだが、米国が長らく覇権国家でいられた最大の理由は、ジャイアンなりにギブアンドテイクをちゃんと設定してきたからである。しかし中国はそうではない。「このジャイアンならまあいいか」と思ってもらうには欲深すぎ、覇権とは支配される側が認めてこそ成立するという視点で覇権を捉えることができていない。
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