ChatGPTでは、チャットでの対話を通じて必要なコンテンツを学習させることで精度を上げられる。例えばカスタマーサポートの分野や、形式が決まっている日常的なメールや日報などの文面、果ては筆者の連載記事の“クローン”を作ることも可能だ。もし完璧な結果となれば、筆者は寝ているだけで仕事が完結する夢のような状態を作り出せるかもしれない。
早速、本連載の代表的な記事数本をChatGPT4.0で学習させていこう。
筆者: このチャットでは、筆者の記事を学習させることで、クローンのように口癖や構成などをまねた文章を出力してもらうことを目的としています。理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
ChatGPT: はい。
まずはチャットの目的を定義して、役割とゴールを明確化させよう。次に、筆者の執筆記事で特にPVが伸びたテーマを学習させていく。
筆者: 下の記事は学習用です。学習が終わったら「はい」とだけ答えてください。
連載テーマ:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」
記事タイトル:“人類未到のお金持ち”イーロン・マスク、個人資産がトヨタ自動車の時価総額上回る
本文:(割愛)
ChatGPT: はい。
(以下繰り返し)
ChatGPTは複数記事から筆者の記事の内容を理解したようだ。では、こちらのフォーマットに従い、架空の記事を出力してみる。
筆者: 記事タイトル:AIがリープフロッグ現象を引き起こす?日本がここから一気に躍進する理由
ChatGPT: 近年、AI(人工知能)の発展が目覚ましく、世界中で活用が進んでいる。AIは、効率的なデータ解析や自動化による労働力削減など、多くの産業に革命をもたらしている。そんなAI技術が、リープフロッグ現象を引き起こし、日本が一気に躍進する理由について考察する。
そもそも、リープフロッグ現象とは、発展途上国が、先進国が経験した技術の進化過程をスキップして、新技術を導入し急速に発展する現象のことである。例えば、途上国では電話回線を整備する前に携帯電話が普及したことで、通信インフラが急速に発展した。このような現象が、AIを活用した日本の産業界にも起こり得るのだろうか。
このように、筆者はタイトル案を入力するだけでものの5分程度で記事が出力された。まずは本テーマの導入と概要部分を確認する。通常、ChatGPTの出力結果は、「です・ます調」(敬体)であるが、今回のアウトプットでは連載記事のフォーマットを学習し、「だ・である調」(常体)で出力されている。
また、「目覚ましく」や「そもそも」といった筆者特有のワードセンスであったり、「起こり得るのだろうか」と言った問題提起の締め方など筆者の連載記事を学習したアウトプットを出力しているようにも思われる。一部、「多くの産業に革命をもたらしている」といったオーバーな表現などが気になるものの、「リープフロッグ現象」の説明例や具体例はいずれも適切な記述がなされている。
では活用のポイントを見てみよう。
ChatGPT: 日本の産業界におけるAI活用のポイントは以下の3つとなる。
1.人口減少による労働力不足の解消
日本は人口減少が進み、労働力が不足している。そのため、AI技術を活用して労働力を補い、生産性を向上させることが求められている。例えば、製造業や物流業界では、AIロボットが従来の人手を置き換えて効率的に作業を行うことが可能となっている。
2.グローバル競争力の向上
AI技術の導入により、新たなビジネスモデルやサービスが生まれ、グローバル市場での競争力が向上する。例えば、自動運転技術やスマートファクトリーなど、AIを活用したイノベーションは、海外市場にも展開しやすくなる。
3.伝統産業の革新
日本には伝統産業が多く存在し、その中でもAI技術を取り入れることで、効率化や新たな価値創造が可能となる。例えば、農業
ChatGPTを利用していると、途中でアウトプットが途切れてしまうことがある。しかし、「そのまま続けてください」と入力すれば、ChatGPTは意図を理解して続きの文章を出力するため心配無用だ。
筆者: そのまま続けてください。
ChatGPT: 例えば、農業ではAIを活用した遠隔監視や自動収穫システムにより、作業の効率化や品質向上が図られる。また、伝統的な匠の技もAIによる解析やシミュレーションで継承・発展させることができる。
これらのポイントから、日本はAI技術を活用することでリープフロッグ現象を引き起こし、一気に国際競争力を高めることが可能である。しかしながら、その実現にはいくつかの課題がある。
ここまで活用のポイントが記載されているが、この部分はやや記述がメディアの掲載記事としては浅薄なアウトプットであるといえる。続けて課題の方も確認しよう。
技術開発や人材育成の取り組み
日本はAI技術の研究開発に力を入れるとともに、AIに関する専門知識を持った人材の育成が不可欠である。これには、政府や企業、教育機関が連携し、研究開発支援や教育プログラムの充実が求められる。
データ活用の推進
AI技術の活用には大量のデータが必要であり、企業や団体が持つデータを効果的に活用することが重要である。そのためには、データ利活用のルール作りやプライバシー保護の徹底が必要となる。
社会の理解と受け入れ
AI技術の導入に伴い、仕事の変化や失業への懸念が生じることもあるため、社会全体での理解と受け入れが大切である。政府や企業は、技術の利点や可能性を広く伝え、社会的な対話を進めることが求められる。
結論として、日本はAI技術を活用しリープフロッグ現象を引き起こす可能性があるものの、その実現には技術開発、人材育成、データ活用、社会の理解と受け入れといった課題に取り組む必要がある。これらの課題を克服し、急速な発展を遂げることができれば、日本はAIを活用した新たな産業革命を引き起こすことができるだろう。
ここまで、たった2〜3分ほどで1300文字程度の記事ができあがった。やはり、「箇条書き」であることや、具体例を指定しない限りは「一般論の提示」にとどまるという点で、私が寝ているだけで仕事を終えられることはなさそうだ。
しかし、この結果から記事の「文章構成」を参考にしたり、落とすべきでない「論点」を確認したりといった用途では十分に負担の軽減ができそうであるし、ファクトや独自視点・時事問題を肉付けしていくことでコンテンツの完成度を高めていくこともできそうだ。
結果として、ChatGPTは現状のところ、思想や着眼点といったクリエイティビティや専門性まで完璧に複製されたクローンを作ることはできないことが分かった。
しかし、特別なスキルや専門性がなくても作成・調査が可能なコンテンツをChatGPTに任せることで、本質的な部分をより丁寧に記述したり、人間や専門家独自の視点の検討により長い時間をかけられたりするポテンシャルは大いにありそうだ。
1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら
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