ただ、BEVそのものがCO2を排出しないとしても、動力源となる電力の生成過程で排出されるCO2削減ができなければ意味がない、という声も根強くあります。
経済産業省が2022年11月に発表した「エネルギー需給実績」では、21年度の発電電力量に占める火力発電の割合は72.9%。日本の電力供給の実情は依然として、石油や天然ガスなど化石燃料に頼らざるを得ないわけで、全面的な電動化(EVシフト)が必ずしも我が国のCO2削減に向けた最善策であるとは言い難い状況のまま、現在に至っていることもまた事実なのです。
先にも述べたように、G7環境相会合で日本は議長国として2035年までに自動車から出るCO2を2000年比で50%以下にするとの宣言に留めたのですが、そこにはトヨタを中心とした日本が先頭を走っているHEVを“脱CO2カー”として温存し、引き続きこれをCO2削減に活用したいという考えが透けて見えるものでもあります。トヨタの全方位戦略は、そんな日本政府の苦しい立場を忖度(そんたく)しつつ掲げているものなのでしょうか。
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