なぜ人が減ると、観光ビジネスが成長をするのか。まず、大きいのは「観光公害」の解決策である「ゾーニング」が進むからだ。
有名観光地では必ずと言っていいほど、地域住民と観光客の「対立」が起きる。世界中から観光客が押し寄せて、騒音やゴミの問題が発生するだけではなく、生活の足であるバスや電車も大混雑で、ときにはマナーの悪い観光客によって、私有地に無断侵入や塀が壊されたりという被害まで出る。最悪、その地域にしかない自然や生態系などが破壊されてしまう場合もある。
この観光公害は万国共通の現象で、解決策としては地域内への入場規制を設けたり、観光客から高い入場料を徴収したりするなどがあるが、その中でも効果が高いのが「観光客」と「地元住民」の流れをきれいに棲(す)み分けるゾーニングである。
ハワイが分かりやすいが、かの地では地元民が生活して買い物をするような生活圏や自然保護区と、観光客が押し寄せるワイキキビーチなどの観光エリアがくっきりと分かれている。このようなゾーニングがしっかりとされているので、われわれ観光客はハワイのにぎやかな観光スポットだけではなく、手付かずの自然を満喫できる。これこそが世界中から何度でもハワイを訪れるリピーターがやって来る理由だ。
つまり、ゾーニングというのは観光公害を軽減させて、その地域の観光ビジネスをさらに発展、進化させていくのである。
そんなゾーニングがこれからの日本では急速に進んでいく。なぜかというと人口減少が進行していくと、ほぼ間違いなく「生活エリアの集中化」が進んでいくからだ。
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