このように大手チェーンの動向を見ると、店員が皿を数える行為自体は減る方向にあるといえるだろう。
では、皿を数えなくなることで店舗側にはどういった影響が出るのだろうか。
「魚べい」などを運営する元気寿司では、12年から寿司が回転しない店舗を増やしてきた。利用客が注文した商品を特急レーンで提供するスタイルに変えた結果、注文履歴は全てデータとして残るようになったことから、皿を数える行為がなくなった。このプロジェクトを推進した法師人(ほうしと)尚史元社長によると、皿の数え間違いがなくなったのは大きなメリットだったという。
利用客は、自分が食べた分以上の皿を数えられたらその場ですぐに指摘する。しかし、食べた分より少なかった場合はそのままスルーする。店にとっては売り上げ減につながる深刻な事態だが、こうしたことは意外と多かった。
店員にとっては、わざわざテーブルに出向いて皿を数える必要がなくなるので、空いた時間を接客などに振り分けることも可能だ。長期的には店舗の省人化にもつながる。
コロナ禍や迷惑動画の影響もあり、大手回転寿司チェーンでは回転レーン上の寿司を見て「おいしそうだから食べてみよう」というシーンは減りつつある。タッチパネルで注文した商品だけを提供するスタイルが主流となれば、皿を数える行為は減っていくことになる。飲食業全体では人手不足が深刻化しており、人件費も高騰しているので、こうした傾向は強まる可能性がある。
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