「艦これ」を遊ぶほど、モデルとなった艦艇に詳しくなっていきます。これは「信長の野望」で大名の名前、旧国名を覚えたり、「桃太郎電鉄」で地名や特産品に詳しくなるのと同じことで、現実社会の学びになります。
例えば「艦これ」をある程度プレーした後で、広島県呉市にある「大和ミュージアム」に足を運ぶと、見る世界がガラリと変わります。「艦これ」のファンと思われる人たちが、呉や横須賀、舞鶴などに足を運んでいるSNSをよく見かけますが、興味を持つことで、日常に刺激が生まれているのです。気になって自ら調べると、新しいことも、どんどん分かってくるでしょう。
つまり「艦これ」はゲームの枠だけではなく、艦艇という世界を通して、現実とうまく溶け合っている面があります。「ウマ娘」は競走馬、「Fate/Grand Order」は歴史上の英雄といったように、人気ゲームの中には、現実の知識をゲームの中にアレンジしながら取り込んでいて、ゲームにとどまらない楽しみ方を提供している面があります。
優れたコンテンツにとってネックの一つは、長期のプレーによる「飽き」です。それを食い止めるためにも、現実の知識と溶け合っておくのは、「飽き」の防止、そして「復帰」の布石として、有効と言えるのではないでしょうか。
「艦これ」は、多い情報量や操作を考えると、PCのプレーが適していると思いますが、スマートフォンなどでも遊べます。また10周年に合わせて、三越とタイアップ企画を実施しています。まだまだ元気な「艦これ」が、今後もどうなるのか注目です。
ゲーム、アニメ、マンガなどを主戦場にするフリーランスのサブカルライター。ヤフーオーサー、マンガ大賞選考員。メディア所属時には、決算会見や各発表会に参加し、独自記事なども執筆。20年以上ゲーム業界を中心に取材している。2020年5月、「『ドラゴンクエスト』大ヒット連発なぜ? 30年前の伝説の熱狂」でヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞した。「文春オンライン」や「Number Web」(ともに文藝春秋社)などでも記事を執筆。静岡放送などでラジオに出演することも。
ヤフーニュース個人:「河村鳴紘のエンタメ考察記」
Twitter:@kawamurameikou
note:河村鳴紘
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