“おっさんビジネス用語”って面白いよね 若者が「過去を楽しむ=危険」なワケスピン経済の歩き方(2/6 ページ)

» 2023年05月23日 09時43分 公開
[窪田順生ITmedia]

「社内運動会」が復活の兆し

 実際、それがうかがえる調査が山ほどある。例えば、日本財団が中国、インド、英国、米国、韓国、日本の6カ国でそれぞれ1000人の18歳を対象に意識調査をしている。最新の調査でも、日本の18歳は他国と比べると、ダントツに未来に「絶望」していることが分かっている。

 『自分の国の将来について、日本は「良くなる」が13.9%と、他の国に差をつけて6カ国中最下位となった。また、「悪くなる」が35.1%、「どうなるか分からない」が30.7%で、それぞれ6カ国中最も高いスコア。「良くなる」という回答が最も多いのは中国(95.7%)で、次いでインド(83.1%)が多い』(18歳意識調査「第46回-国や社会に対する意識(6カ国調査)-

多くの若者は、日本の未来を悲観している(出典:日本財団)
経済や科学技術についても悲観的な見方が強い(出典:日本財団)

 「明るい未来」への道が見えない。この閉塞感をどうすれば打ち破れるのかも分からない。だから、日本のビジネスの方法論や哲学は、いつまでたっても「ふり出し」に戻ってしまう。分かりやすいのは最近、復活の兆しを見せている「社内運動会」だ。

 高度経済成長期、会社というのは「家族」であり、一生涯付き合っていくものだから、「給料が安い」とか文句を言わず、どんなブラック労働でも歯を食いしばって自分を犠牲にすれば必ず報われる、という精神主義が広まった。それに一役買ったのが、社内運動会だ。

 だが、時代をは変わって人口減少による「縮む経済」の中で、そういう滅私奉公は報われなくなった。血反吐を吐いて自己犠牲をしても結果がともなわない。「みんなで力を合わせれば勝てる」という精神主義もパワハラやブラック労働にしかつながらないので、必然的に社内運動会も下火になっていった。

 にもかかわらず、それが近年復活している。「チームビルディング」や「愛社精神を養う」などいろいろなメリットが並べられているが、とどのつまりは「昔はよかった」ので「昔のやり方」にすがっているだけだ。

 「ジョブ型雇用」だなんだと叫びながらも、ちょっと苦しくなってくると「みんなで歯を食いしばって一致団結がんばろう」という過去の方法論に逃げ込んでしまう現実があるのだ。

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