なぜミンティアのケースに“溝”があるのか 前年比122%で推移している背景週末に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2023年05月27日 09時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 脱マスクが広がる中、売り上げがコロナ前に戻りつつあるモノがある。旅行カバンであったり、リップであったり、ひげ剃りであったり。このほかにもたくさんある中で、筆者が気になったのは「ミンティア」(アサヒグループ食品)である。

 ミンティアの特徴といえば、やはり「清涼感」だ。仕事をしているとき、人と会うとき、食事を終えたあとに、タブレット(錠菓)を口に含んで“鼻抜け感”を楽しんでいる人も多いのではないだろうか。

新型コロナの影響を受けたミンティアが、復活の兆し

 さて、そんなミンティアも、新型コロナの影響を受けて苦しめられた。移動が制限されたこと、マスクを着用するシーンが増えたこと。この2つによって、“タブレット離れ”が起きてしまった。売り上げを見ると、対前年比で30%ほど落ち込んでしまったのだ。

 2020〜22年は低迷したものの、今年に入って復活の兆しがうかがえる。1〜3月の売り上げを見ると、対前年比122%で、販売目標160億円(前年比108%)を上回るペースで推移しているのだ。

 ふむふむ。街中でマスクをしない人が増えているので、ミンティアも売れ始めたわけね。などと考えていたら、気になることが浮かんできた。コロナ前の売り上げはどうだったのかである。

 ちょっと調べたところ、商品が産声をあげたのは1996年のこと。今年27歳を迎えるロングセラー商品なので、「華々しいデビューを飾ったんだろうなあ」と思いきや、寂しい数字でスタートする。(ポーラフーズが販売していたが、2003年にアサヒグループ食品の前身であるアサヒフードアンドヘルスケアが販売権を獲得)

ミンティアは「瞬感ミント打法」で仕上げている(「小粒カプセル」をタブレット内に配合し、清涼感とミントの味わいを瞬間的に感じられる製法のこと)

 1年目は首都圏のみで販売する。2年目に全国で販売するものの、3年目には前年割れ。4年目に回復したものの、5年目に再び前年割れに。一進一退の状況が続いていたので、気が短い幹部は「いらいらいらいら」していたかもしれないが、伸び悩んでいた原因が2つあった。

 1つめは、認知度である。当時、タブレット菓子の歴史は浅かったので、食べたことがない消費者が多かった。というわけで、市場を拡大させるのにどうしても時間がかかった。2つめは、味である。アサヒグループ食品のブランド担当者に聞いたところ「当初のミンティアは、お世辞にも『100点』を付けられるような味ではなかったですね」と厳しい答えが返ってきた。ん? どういう意味なのか。

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