電気自動車(EV)へのシフトに伴い、EVなどに多く使われるSiC(シリコン・カーバイト、炭化ケイ素)パワー半導体の需要が増えている。
英調査会社オムディアによれば、パワー半導体の市場規模は2025年、243億米ドル(3兆3929億円、6月1日現在)まで膨らみ、その後も右肩上がりが続く。
そのSiCパワー半導体の製造に欠かせない部品「SiCエピタキシャルウエハー」の分野で世界的に高いシェアを保有している日本企業がある。旧昭和電工と旧日立化成が統合した「レゾナック・ホールディングス」だ。同社の独自の開発力には、世界の企業が熱い視線を注いでいる。
トヨタ自動車はレクサス初のEV「RZ」を発売。そのインバーターにSiCパワー半導体を搭載したが、これにはレゾナックのエピウエハーを採用した。
同社の誕生の経緯はこうだ。2020年、化学大手の旧昭和電工は日立化成を買収。23年に両社は統合を予定していたが、1年早い22年1月、実質統合となる経営体制へ移行した。23年1月に社名をレゾナック・ホールディングスに変更した。
社内外との連携により価値を創造する「共創」をスローガンに掲げ、「化学の力で社会を変える」という存在意義(パーパス)を訴求。最新技術を武器に、日本の半導体産業を材料面から支えようとしている。
レゾナックの22年12月期通期(1〜12月)の売上高は1兆3926億円と1兆円を超えている。同社は半導体・電子材料をコア成長事業とする経営方針を打ち出し、経営資源を集中的に投資。半導体・電子材料の比率を売上高の約45%まで引き上げる計画を発表している。
ルネサスエレクトロニクスで執行役員を務めた経験を持つ、レゾナックの真岡朋光CSO(最高戦略責任者)にその戦略を聞いた。
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