自分の仕事が奪われるかも 優秀なAIに対して「組織」はどうすればいいのか持続可能な組織(2/3 ページ)

» 2023年06月16日 08時00分 公開
[秋沢崇夫ITmedia]

企業がChatGPTを導入する際に取り組むべきこと

 生成AIが注目される中、すでにChatGPTを企業が業務に取り入れる動きが広まってきている。うまく活用することで生産性の向上が期待できるChatGPTだが、実際にどのような業務で活用しているのだろうか。セキュリティ面での対策とともに他社の事例を紹介する。

ChatGPTを導入して、何をしているのか

まずは効果の見極めから

 アサヒグループジャパンでは、約100人の社員により、生成AIが業務の効率化やサービス開発に効果・有用性があるかどうかを検証する「ジェネレーティブAI『やってTRY』プロジェクト」を5月より開始した。

 問い合わせへの回答文の作成、商品のキャッチコピーやパッケージの作成などに、ChatGPTをはじめとした複数のAIを使用することを想定。今後の業務でのAI活用の可能性を積極的に探っている(参照リンク)。

社員が安心して使える環境を整備

 ベネッセホールディングスでは、今年の4月より、グループ社員向けに社内AIチャット「Benesse GPT」の運用を開始している。同社では、セキュリティ面に配慮し、入力した情報が外部に漏洩しない仕様を独自で構築。さらに、利用履歴もモニタリングできるようにするなどリスク軽減対策を講じている(参照リンク)。

 このように、AIを安心して使える環境を整えることで、社員みんながAIの時流に乗ることを後押ししている。

スピードを武器に生産性向上に貢献

 デジタル広告最大手のサイバーエージェントでは、デジタル広告制作にAI技術を活用している。自社開発のAIシステムでバナー広告を作成し、その内容をさらにAIに解析させ、広告効果の予測値を算出しているという。さらに今年5月には、独自開発した大規模言語モデル(LLM)とChatGPTを組み合わせ、バナー広告のキャッチコピー文を生成する機能も同システムに搭載した。

 広告業界では、他の大手企業でもキャッチコピー作成にChatGPTを利用するなど、AI活用の動きが進んでいる(参照リンク)。デジタル広告は鮮度が重要であるが、大量に生産、即時に効果予測ができるAIの強みを活用している好例であろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.