驚きの高騰ポケモンカード なぜ“カード1枚”にそこまで価格がつくのか廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(2/4 ページ)

» 2023年06月15日 07時00分 公開
[廣瀬涼ITmedia]

 カードに限らず需要がある商品では、一度消費者が購入した商品が再び消費者によって販売される「2次流通」において、高い価値が見い出される。いわゆる転売のことだ。

 正規ルートで正規価格で手に入るに越したことはないが、仮に手に入らなくとも、欲しいものを何とか手に入れようと、フリマアプリやオークションサイトを利用する。どうしても欲しい人が存在するからこそ、元の価格に色が付けられ転売されていく。今、ポケカがその対象なのだ。

 この2次流通における市場価格は、消費者の需要の度合いによって変動する。仮に自身が100ドルでフリマアプリで購入したものであっても、永続的に100ドルという価値が維持されるわけではない。その価値を決定付けるのは2次流通市場における需要の度合いであり、その価値は今後10ドルになるかもしれないし、1000ドルになるかもしれない。その価値が「市場評価によって変動する」かつ「予測できない」という側面から、トレーディングカードをはじめコレクション性のある有形物には投資の側面が見出されているのだ。

 ポケカも21年に高騰したものの、同年10月からはカードの製造枚数の増加に伴い、さまざまなカードの価格が下落した。ポケモンカードバブルの崩壊ともいわれた。トレーディングカードは流通量によって希少性や取引価格が大きく変動するのだ。一度販売終了したカードであっても、再版されることがあればカードの流通量が増えるため希少性も減少、価格も下落する。

 一方、世界規模でコレクターやプレイヤーがおり、eBayなどのオークションサイトやインスタグラムを利用して、簡単に他のコレクターと取引ができるため、特に円安が続く中で、海外コレクターが積極的に日本市場からヴィンテージカードや日本限定カードを輸入している。

 このような背景やポケカコレクターの増加に伴い、価値が高騰したカードも存在する。17年10月20日発売のポケモンカードゲーム「ハイクラスパックGXバトルブースト」に収録された「リーリエ(SR:スーパーレア)」は、特に日本市場では人気が高いカードだ。

photo 人気のカード「リーリエ(SR:スーパーレア)」(中央、画像はポケモンカードゲーム トレーナーズウェブサイトより)

 メルカリ、楽天ラクマ、ヤフオク!などでの取引相場は、17年10月時点では6000〜7000円だったが23年5月には500万〜600万円と大幅に高騰している。状態がいいものだと1000万円で取引された事例も存在する。現行のレギュレーション(ルール)では使用できるカードではないため、再販される可能性は極めて低く、その希少性は増すばかりだろう。

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