独自のセントラルキッチン方式と社員教育制度によって成長し続ける「餃子の王将」。コロナ禍では他の飲食チェーン同様に打撃を受けたが、デリバリー・テークアウト対応が功を奏し著しいV字回復を遂げた。
今後もデリバリー・テークアウトを新たな市場として定め、成長を狙うようだ。さらに、年間を通して割引が適用される会員カードのキャンペーンを強化しており、ファンの定着化も図っている。運営する王将フードサービスが成長してきた背景、そして今後の戦略について探ってみた。
王将フードサービスは1974年に設立。個人営業組織で運営されていた「王将」18店舗を引き継ぐ形で事業を開始した。78年には50店舗体制となり、わずか2年後の80年には148店舗体制となった。85年には300店舗、94年には400店舗を突破し、95年には大阪証券取引所2部に上場する。2006年に1部上場となった後、翌年には500店舗体制を達成。15年には直営469店舗、FC231店舗の700店舗体制となった。そして現在、国内ラーメンチェーンの店舗数ランキングでトップの地位にいる(日本ソフト販売調べ、2022年)
1位:餃子の王将:734店舗
2位:リンガーハット:586店舗
3位:幸楽苑:404店舗
4位:日高屋:403店舗
5位:大阪王将:359店舗
餃子の王将が成長した背景には、緩急つけたセントラルキッチン方式と社員教育制度がある。
まずは前者から解説しよう。王将では餃子の餡や皮、中華麺などの主要食材を工場で製造しつつも、店舗で調理する仕組みをとっている。工場と店舗のどちらかに一本化するのではなく両者の良いとこどりをすることで、安定した品質を確保しながら店頭で熱々のつくりたて中華料理を提供することを可能にしたのだ。
2000年代に入ってすぐの頃、低コスト化を狙ってセントラルキッチン製造の料理を増やしたこともあったが、不評だったので撤回した。
また、充実した社員教育制度も品質の維持に貢献している。「王将調理道場」では、店主を中心に各地の従業員を京都本社に集め、王将の調理技術をたたき込む。王将大学では店舗運営の基礎から応用までのノウハウを教え、従業員のマネジメントスキルを高めている。
10年に同社の教育制度がテレビで放映された際、スパルタ式であると批判を浴びたこともあったようだが、品質とサービスの安定化に貢献したのは確かといえよう。
競合に目を向けると、リンガーハットは長崎ちゃんぽんで差別化に成功したが、幸楽苑は低価格戦略が失敗して東北・北関東以外では店舗数を伸ばせなかった。アルコール提供による“ちょい飲み”戦略で強みを発揮した日高屋は関東の駅前・都市部にしか進出できず、餃子の王将がトップに躍り出た形だ。
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