「一風堂」が同業者とコラボ 新しいラーメンの狙いは? 限界を突破する店づくりの可能性長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2023年06月20日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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足りない部分を補い合う発想

 このように足りない部分をWブランドで補い合う発想は、すかいらーくなどが展開するWブランド戦略に大きな影響を与えている。すかいらーくは、コロナ禍で大きな影響を受けたガストに、唐揚げでは後発で店舗数の拡大が遅れてはいたが、テークアウトやデリバリーに強いから好しをコラボさせて、売上の減少を食い止める、一定の効果をもたらしたとみられる。牛丼チェーン松屋もテークアウトやデリバリーに強いカレー業態のマイカリー食堂を併設することで、売上の挽回を試みた。

 都市型、駅前立地が多いウェンディーズ・ファーストキッチンも、コロナ禍で耐え忍んでいたが、今年3月23日にはポテトを一新。従来商品よりもサクサクとした食感が、長時間持続するように改善された。独自の、ジャガイモのでんぷんを使用したコーティング製法により、揚げ立ての熱を閉じ込めることに成功している。

 米国では21年より先行販売して好評だ。濃厚じゃがバタ味など5種のフレーバーが選べる「フレーバーポテト」は人気商品の一つだった。今回はそれに加えて、4種の選べるディップソースで楽しむ「ディップポテト」を新発売(サイズは4段階あるがLで390円)。ディップソースは、スイートチリ、ガーリックマヨ、ハニーマスタード、BBQとあって、ハンバーガーの味変にも使える楽しみがある。ポテトがハンバーガー、パスタに並ぶ第3の柱になれば、全国100店超えも見えてくるのではないだろうか。

今年3月に発売したディップポテト。ポテトも改良

限界突破の起爆剤になるか

 近隣の外食の経営者同士は仲が良くて、集まって一緒に笑顔で酒を酌み交わしながらも、その酌み交わした会社の社長がつくった繁盛店の業態や料理を、翌朝シレっと模倣しているというのは、よく聞く話。

 そんなことをするくらいなら、正面から話し合って提携し、一緒にお店をつくったほうが生産的だ。外食同業者のコラボは、限界を突破する起爆剤になる可能性を秘めている。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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