OCNモバイルONEの既存ユーザーは、現行のプランを継続利用できるが、仮にイルモ(3GBプラン)に移行するとなると、実質1000円以上の値上げになる。会見では「金額の乖離(かいり)が大きく、既存ユーザーにとって踏み絵になるのではないか」「既存ユーザーの居場所を奪うことになるのではないか」という質問も出た。
内山清人料金戦略担当部長は「OCNでは、ドコモショップでのサポートに課題があった。ドコモのサービスを受けられて3GB・880円という点にこだわっている。ドコモの高品質なサポートのもと提供したい」と説明。サービス提供主体がNTTレゾナントからドコモに変わり、高品質なサービス提供を行うため、実質値上げになるという説明だ。
ここまでの一連の流れをあらためて整理する。
- レゾナントの子会社化で、OCNのユーザーはドコモユーザーに
- OCNの既存ユーザーは継続利用できる
- イルモに移行すると1000円以上の実質値上げ
- 値上げの要因はドコモのサービスを受けられるから
OCNモバイルONEの新規受け付けは6月26日まで行う。約1週間の加入の猶予があり、駆け込み需要も想定される。ドコモ側は受付期間終了後も、既存ユーザーにはサービスを継続することを強調した。
ただ、大橋室長は「OCNモバイルONEは、ドコモにとってはNTTレゾナントからの再卸という形になる。こうした形は好ましくないのではないか」とし、「今後、イルモへの移行を促していく」とした。
内山部長も「ドコモ(のサービス)に無理やり移行してもらうことはできないが、ドコモに来てもらうことで、ポイントなどドコモならではのサービスを利用できる。ドコモの良さをOCNモバイルONEのユーザーにアピールし、順次移行してもらいたい」と話した。
イルモの提供開始と、OCNモバイルONEの新規加入終了に対し、ネットでは「改悪は悲しい」「移行にメリットを感じない」などの声も出ている。割引適用前の2167円ではなく、適用後の価格(880円)を強調する姿勢にも批判が集まっている。菅義偉政権下で行われた“官製値下げ”以降、業界内で続く値下げ論調も向かい風だ。
批判的な声もある中、イルモは7月1日に提供を始める。会見では、これまでドコモブランドの小容量プランがなかったことが、競合へのユーザー流出の一因だったとも認めた。「『ドコモで小容量プランを出してほしい』という利用者の声を反映した」という大義名分を強調して打ち出す新プランは、ドコモにとって吉と出るか、凶と出るか。ユーザーの動向に注目が集まりそうだ。
(関連記事:ドコモ「irumo」で「ahamo」の弱点カバー 小容量プランの競争激化、ユーザー流出抑制へ)
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