NTTドコモが新たな小容量プラン「irumo」(イルモ)を発表した。自社ブランドでこれまで提供がなかった小容量プランを新設した形だが、イルモには「狙いが分からない」などといった声も複数出ている。同社が各種割引適用後の「3GB/880円」という価格を強調した点にも疑問の声が出ている。イルモを識者はどう見ているのか。ITジャーナリストの山口健太氏に聞いた。
山口氏は「ドコモの料金プランには他社の『サブブランド』に相当するものがなかった」とした上で「『ahamo』は基本的にオンライン限定のため、安い料金と店舗でのサポートを求める人はUQ mobile(KDDI系)、Y!mobile(ソフトバンク系)に流れていたのではないか」と指摘する。
ドコモは「電気通信市場検証会議」(6月21日開催)で、総務省に提出した資料中に、サブブランドがなかったことが「ユーザーの選択結果にも表れている状況」と記載。一部の利用者がUQ mobileやY!mobileなどに流出していることを示している。イルモの発表会見でも、具体的なサービス名には言及しなかったものの、利用者の流出があったことを認めていた。
ドコモは自社でサブブランドを設けない代わりに、その受け皿として「エコノミーMVNO」を展開していた。エコノミーMVNOとは、ドコモと提携した事業者名義で低価格・小容量のプランを提供するMVNOのこと。これまで「OCNモバイルONE」(NTTレゾナント)や「トーンモバイル for docomo」(フリービット)、「LIBMO」(TOKAIコミュニケーションズ)などが参入している。
ただ、ドコモは前述の総務省への提出資料で「エコノミーMVNOはサポートが十分でないなどの課題があり、シニアライトユーザー層を中心にスマホの利便性をより多くのお客さまへお届けする際に課題がある」としていた。
こうした背景から山口氏は「スマホのことはなじみのドコモショップで全部やってもらいたいというシニアはまだまだ多いとみられる。そうした層にイルモは受けそうだ」と分析した。
ドコモはイルモのターゲット層を明確に示していないが、会見で使用したイルモの開発経緯に関する投影資料にも、中高年のイメージ画像が使用されており、山口氏が指摘する通り、シニア層向けのプランといえるかもしれない。
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