「日本のディズニーは大行列。1万円は高すぎ」 この主張は妥当なのか(後編)スピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2023年06月28日 09時34分 公開
[窪田順生ITmedia]

日本は逆

 世界では売れているモノ、人気のあるモノは価格が上がっていく。価値を生み出すのはタダではないし、消費者に飽きられないように価値向上を続けるには、設備投資や人件費がかかるからだ。消費者もそこに価値が認められれば、値上げを素直に受け入れる。そこには、価値を生み出すために必死で働いている人たちへの「敬意」や「応援」という意味もある。

 しかし、日本では逆だ。

 売れているモノ、人気のあるモノの価格を下げろと言い出す人が多い。企業側が一生懸命釣り上げた「価値」にいちゃもんをつけて、無理矢理引きずり下ろすのだ。そこで働く人たちの努力を否定して、「お前らがやっている仕事はそんなに大したもんじゃないだろ」と言わんばかりに「安売り」を要求する。

(出典:ゲッティイメージズ)

 消費者が自分の価値を押し付ける。実際にそういう仕事をしたこともないし、ビジネスモデルも理解していない人が、「この程度だったら1万円くらいが妥当だろ」なんて感じで、汗水垂らして働く人たちがつくりだした価値を、自分の尺度で値踏みをする。そこには敬意や応援という考えは一切ない。

 お客様は神様であって、奉仕をされるのが当然である。企業と労働者はひもじい思いをしながらも、神様を喜ばせるのが仕事だろ――と言わんばかりに、異常なまでに「低価格・高サービス」を求めてくる日本人のなんと多いことか。

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