混んでいるからもっと安くせよ――。東京ディズニーリゾートの入場料が「1万円オーバー」になったことを受けて、一部の客から批判が持ち上がっている。
前編では、批判する人の中に多い、「昔のディズニーは今のような儲(もう)け主義じゃなくて快適だった」という主張が、「40年」という歴史を考慮しない、モンスタークレイマー的で身勝手な主張であることを解説させていただいた。
そこに加えて「人気のある施設が混んでいるのだから、入場料は安くするのが当然」という発想をしている人が多いので、日本が30年間平均給与の上がらない「貧しい国」に成り下がった、ということを指摘させていただいた。
世界では「人気があるモノは価格が上がっていく」のが常識だ。だから、ディズニーに限らず世界中から人が押し寄せて混み合う人気テーマパークは軒並み、入場料が上がっている。
需要が旺盛なので、安売りなどして価値を下げる必要がない。自分を高く売り続けるには、客を満足させ続けなくてはいけない。設備投資も繰り返していくし、サービスの質を落とさないような人材育成にも力を入れなくてはいけないので当然、価格も上がっていくというわけだ。
しかし、日本の場合、どういうわけか「人気があるモノは価格を下げていくのが当然だ」と考える人が多い。客が増えたんだから単価を下げてもトントンで利益が確保できるだろ、と言わんばかりに、企業に対して「安売り」を求める消費者が多いのだ。
これは一見すると、消費者が「得」をするように見えるが、逆だ。安売りはモノの価値が下がるので、そこに関わる労働者の価値も下がる。つまり、低賃金労働という「毒」が社会に広まってしまう。多くの人に愛される外食チェーン、ヒット製品などの多くが、低賃金労働者に支えられているのがその証左だ。
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