住所非公開「パフェバー」の会員権が3分で完売 どんな店なのか：争奪戦に（2/4 ページ）

[小林香織，ITmedia]

秘密の隠れ家で“パーフェクト”なパフェを出す

　6月某日、渋谷駅からほど近い雑居ビルの中にあるリメイクイージーを訪れた。カウンターのほかにいくつかのソファ席があり、定員は15〜16人ほど。準備中の時間だったため営業中の雰囲気とは違っていたが、ほどよく照明を落としたシックな空間で、優雅な気分に浸れそうだ。外に看板などはなく、秘密の隠れ家っぽさもある。

デートや落ち着いて交流したいときに重宝しそうだ

　提供するのは、単価が3000円を超える高級なパフェと、そのペアリングを楽しむカクテル。パフェはレギュラーメニューのほか、毎月変わる季節のメニューがある。林氏いわく、パフェのコンセプトは「パーフェクトへのリメイク」だ。

　「パフェはフランスで誕生したスイーツで、語源はパーフェクトです。空気を含ませてつくられたアイスクリームやムース、生クリームなどを使い、常温・冷蔵・冷凍の3つの温度帯が感じられる。食感や温度の違いを楽しめるうえに軽いので、フレンチコースの最後に出てきても食べられる。

　そんな完璧なスイーツが本来のパフェなのですが、日本では喫茶店文化がつくられる過程で、原価を抑えるためにコーンフレークや冷凍できるホイップクリームに置き換わってしまった。それはアンパーフェクト（完璧ではない）だと僕は思っていて、もう一度パーフェクトにリメイクしたいと考えました」

レギュラーメニューの「イチゴの花畑パフェ」（3200円）

　旬のフルーツや質のいい素材を使うだけでなく、サステナブルであることも重視する。例えば、カカオはすべてフェアトレードで無農薬のものを使用する、フルーツは傷んでいるなどの理由で販売できないが質がいいものを農家から直接仕入れる、CO2の排出を抑えるため国産の小麦粉にする、といった具合だ。

　林氏が味覚のなかで得意とするのが、「アルコール」と「砂糖」のかけ合わせ。パフェにも必ずアルコールを用いているが、ラム酒やウイスキーなどを使った、いわゆる定番の”大人の味”ではなく、複雑さが増すようなかけ合わせを狙っている。

6月の季節限定メニュー「ローズピーチメルバパフェ」（3500円）

　例えば、6月の季節限定メニュー「ローズピーチメルバパフェ」は、桃を漬け込む際にライチのリキュールを使用している。業界の常識や伝統の手法にとらわれず、どうしたら素材の良さが最大限に生きるかを模索する。そのうえで素材の組み合わせや食べる順番、ペアリングしたアルコールの揮発性なども加味して、出会ったことがないような食体験に仕上げているという。