渋谷店で手応えを得たことから、22年11月には名古屋に進出している。大阪や福岡ではなく、名古屋を選んだのは業態的にマッチしやすい背景があるからだ。
名古屋ではインパクトのある濃い味付けが好まれる。いわゆる大味文化が形成されており、スイーツのなかで大味といわれるパフェが受け入れられやすい。日本でもっとも喫茶店文化が根付いており、パフェになじみもある。ブランド志向でやや見栄っ張りな特性があるともいわれ、会員権がステータスとなるシステムもマッチしやすい。
実際、この選択が吉となったようだ。渋谷店同様、名古屋店のオープン前にもクラウドファンディングを実施したところ、2000万円を超える支援額が集まり、渋谷店の約840万円よりも反響があった。
名古屋店は渋谷店の約2倍の広さで、より特別感のある個室も備える。両店舗ともにオープン以来、売り上げは右肩上がりだ。だが、実際のところ「会員制のビジネスはメリットよりデメリットのほうが多い」と林氏は言う。
「路面店であれば歩行者が見つけやすく自然と認知が拡大できますし、行列ができれば集客にも困りません。一方で会員制の場合、知ってもらうきっかけが必要であり、会員になるまでのハードル設定や会員を持続してもらうための工夫も求められます」
そんな難しい会員制ビジネスで売り上げを拡大しているのは、「期待値を超える味」を提供できているからだろうとのこと。情報量が多い現代では、SNSを通じて店を知り、実際に足を運ぶことも多い。そこで期待値を超える体験ができることは、ほとんどないのではと林氏。
「当社のパフェは一口食べて驚く方が多いです。『こんな食材の組み合わせが合うんだ』という意外性もあると思います。そういった記憶がしっかり残ることで、リピート来店につながるのかなと」
最後に展望をたずねると、「大都市へのフランチャイズ展開と、より高級な上位店を構想している」と。
「札幌、大阪、福岡へのフランチャイズ展開を進めたいと思っています。同時に、現在のリメイクイージーを超える『2.0』と呼べるような上位店をつくれたらと。上位店のコンセプトはまだ構想段階ですが、例えば明治時代の作家がつくった器に盛り付けるなどして、『時間の概念』を乗せたパフェができたら、おもしろいかもしれません」
まだまだ伸びそうな勢いと同時に、林氏の話からは「顧客体験をアップデートし続けなければ、会員ビジネスは持続しない」といったシビアさも感じられた。
写真提供:リメイクイージー
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