ところが、その合理性がeKスペースクロスに関しては悪い方に働いたのではないでしょうか。同じような名前のモデルが数多く存在してしまい、eKスペースクロスという新型車が埋もれてしまったのです。実際のところ、筆者も「そういえば、そんなクルマもあったな〜」と思い出すのに時間がかかってしまいました。
つまり、デリカミニという名称からは、これまでの合理的な命名法から逸脱する思い切った決断があったことを意味します。三菱自動車の広報に聞いたところ、20年のeKクロススペース発売時にも、デリカミニの名称が検討されたそうです。しかし、当時は命名法のルールが優先され、その結果が失敗だったというわけです。
しかし、そこからが違いました。「君子は豹変する」というように、間違いをすぐに認めて、さっと名前を変えたのです。それが1万6000台を超える予約数という結果につながりました。決断は大正解だったわけです。
ちなみに三菱自動車の中では「デリカの名称を与えるなら、しっかりとしたオフロード性能は必須」という意見があったとか。そのため、今回のデリカミニは、見た目だけでなく、相当真面目にオフロード性能を磨き上げたそうです。かわいいだけでなく、しっかり走れるクルマ。降雪エリアの住人や、アウトドア利用の多い人の需要をがっちり掴む軽自動車となるでしょう。
1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。
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