発売から34年の22年3月、リプトン史上最も大きなリニューアル商品「リプトン ロイヤルミルクティー」を発売した。リニューアルにあたり、茶葉感とミルク感を意識したという。
「リプトンは紅茶のブランドですので、どう顧客に紅茶としての価値を伝えられるかと考え抜きました。茶葉を5%増量し、乳固形分を1.5倍以上にすることで香り高いミルクリッチな味わいを実現できたと思っています。商品の分類も、紅茶飲料から乳飲料に変更しました」と宇田川さんは自信を見せた。
「考え抜いた」と話すように、このリニューアルは決してその場しのぎのものではなかった。10〜20の試作品をつくったり、リプトン ミルクティーを週2〜3本以上飲んでいるヘビーユーザーに新商品を試飲してもらったりなど市場調査もしっかり実施した。実際に「濃厚になっておいしい」「茶葉感がより感じられるようになった」といった期待していたコメントを引き出せたという。
新しいリプトンが市場に受け入れられ、前商品のように多くのファンと新規顧客を連れてきてほしいとの期待を込めて市場に送り出した。確かに、初速はよかった。売り上げペースも前年以上を記録した。
「よし、これからどんどん売っていこう!」というタイミングで、無視できないほどに顧客からの声が増えていった。「元の味に戻してほしい」「購入をやめてしまった」といった前商品の再販を望む声だった。多い日には40件ほどの意見がお客様相談室に届けられた。
事前の調査ではネガティブな意見は出なかったのに、なぜなのか? 宇田川さんは振り返って以下のように話す。「初速が伸びたのは、リニューアルに対する期待感が大きかったのだと思います。事前調査で『おいしい』という意見はいただけましたが、それはその瞬間の話で、飲み続けたいかはまた違う話だったのだと思います」
もちろん「おいしくなった」というポジティブな意見も届いた。しかしそれを圧倒的に上回る数の意見が寄せられたのだ。半年間で667件という数字は、森永乳業では前代未聞だった。
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