東京駅に「立ち食いそば」が少ないのはなぜか経済の「雑学」(4/4 ページ)

» 2023年07月13日 07時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]
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日本の中心としての東京駅

 東京駅は、日本を代表するターミナルである。「上り」「下り」の表現は、すべて東京駅を中心に考えられており、各地へ向かう新幹線が集中している。

 東京駅の利用者数は、JR東日本で第3位。JR東海では第3位。JR東日本では新宿駅がトップ、JR東海では名古屋駅がトップだ。

 だが長距離列車の起終点として、東京駅は存在感を高めている。特に東北など北へ向かう新幹線のターミナルが東京駅になったことで、もともと高かった駅の存在感はさらに高まった。

東京駅

 従来は、東海道新幹線やブルートレインのターミナルであった。ブルートレインはなくなったものの、東海道新幹線が次々に増発され、ついに「のぞみ」は1時間当たり12本の運行が可能になった。東北・北陸新幹線なども、ひんぱんに発着するようになっている。

 普段使用する乗換駅だけではなく、人生の節目節目や、重要な用事で遠くに向かわなければならないときに利用する要素を持った駅でもある。

 そういった駅に、立ち食いそばのような普段使いのサービスは似合わないのかもしれない。日常的に使用する駅ではあるものの、何か特別なときに利用する駅として、まさに「ターミナル」にふさわしい駅であるという使命を、東京駅は負わされている。

 そのため、東京駅の飲食店は相応に高級でなければならない。駅弁も、ぜいたくなものでなければいけない。だからこそ、全国から駅弁が集まる「駅弁屋 祭」が必要とされるのである。

 おそらくJR東日本は、東京駅を「ハレ」の駅として位置付けている。また、JR東海も同じではないか。

 鉄道会社は駅の特性をよく見極め、それに見合ったサービスを考えている。そのためにおいしいものを東京駅改札内に集め、鉄道の利用者に提供しているのだ。

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