嶺井: 14年の資金調達時にベンチャーキャピタルに提出した事業計画を一度も下回っていないと聞きました。14年12月期の売り上げが約1億円。そこから今期は190億円を超える水準を見込むまでの成長を実現しています。上場後に減速してしまう会社も多い中、メドレーは上場後も高い成長を続けました。瀧口さんは「非連続な成長は志向しておらず、連続的な成長を早くやることを志向している」そうですね。
瀧口: 計画を下回っていないのは保守的な計画だったからかもしれません。ただ自分たちが実現できると信じている計画を盛らずに共有してきた結果とも言えます。ちなみに、非連続な成長とは何ですかね? 一般的に非連続な成長という言葉は、一発逆転的な大きな変化を指すことが多いでしょうか。
私としては、一発当てたいというよりは、その分野で一番良いサービスを作って広めたいという感覚で、10〜20年後も顧客のニーズがあるか否かを重視しています。
領域特化のインターネットサービスでは、「クックパッド」や、医療ヘルスケア分野では「ルナルナ」のように長期で利用され続けるサービスがありますが、それらも大きくなるまで時間を要しています。結局は、顧客が価値を感じるレベルまでプロダクトや事業を育てることが必要ですよね。これは地味な作業の連続であって、全く非連続ではありません。
嶺井: 中短期的な非連続ではなくて、しっかり積み上げられる事業であるべきということですね。
瀧口: はい、必ず実需があると信じられることに腰を据えて取り組みたいです。当たるか分からない事業領域で「生きるか死ぬか」の闘いをするつもりは全くありません。
嶺井: 成功する確率が、少なくとも何%くらいは必要だと考えていますか?
瀧口: 私は、やるべきときにやるべきことを徹底的にやり抜ければ、失敗することは少ないと考えているので、それを前提として80%超くらいですかね。そういった事業の連続的な成長を、できるだけ短期間で、できるだけローコストでやることを志向しています。当社が価値を出しやすい事業とは、既存事業において再利用可能なコンポーネントがある領域、いわゆるシナジーの効く領域です。
医療介護従事者と事業所、患者と事業所の間にあるコアな課題を、解像度高く理解してプロダクトを作り、事業化し、キーとなるメトリックを改善していく。そこで生まれたさまざまな事業資産を「不公平な優位性」として、プロダクトの提供価値を拡大していく。提供価値の拡大も、早く効率的にやるといったシンプルな経営をしています。
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