“松屋風”ロモサルタードが好評 高いレシピ開発力を見せつけたと言えるワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

» 2023年07月20日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

勢いのあるペルー料理

 ペルー料理というと、日本ではまだ認知度が高いとは言えないが、世界的な評価は高い。世界の美食家など1000人以上の審査員によって選出される「世界のベストレストラン50」の23年版で、ペルーの首都・リマにある「Central」が1位を獲得した。

 世界のガストロノミーのトレンドを決めると言われ、今回で21回目となるアワードであるが、欧米以外のレストランが1位を奪取するのは初とのこと。もともと、ペルーは美食の国として知られており、明治時代から大正時代にかけて日本から移住した人も多く、日本料理の影響も受けている。

 ペルーで食べられているロモサルタードにも、日本由来のしょうゆが使われている。

 実際に“松屋風”ロモサルタードを食べてみると、豚肉の野菜炒めなのだが、厚切りの肉がガツンと来る。野菜炒めにフライドポテトが入っているのは、確かにユニーク。酢とクミンの味が強くて、エスニックな印象を受ける。にんにくを効かせるのは、松屋風といった感じだ。ご飯との相性も良く、さすがにうまくまとめてきたのではないだろうか。

 肉やご飯の量が選べるのもポイントが高く、人気になるのも納得できた。

 松屋フーズホールディングスの広報によれば「ミツカンさんからお酢を使った料理ということでコラボ企画の提案をいくつかいただいた中に、ロモサルタードがあった」とのこと。

 松屋で扱う食材が使えて、松屋らしいにんにくが効いた濃い目の味付け、かつご飯が進むといった条件を満たしていたことから、ロモサルタードが採用された。

 ロモサルタードはペルーでは主に牛肉を使うが、ネットで調べると家庭では豚肉を使うこともある。そのため、豚肉にしたそうだ。牛肉だと、価格が高くなり過ぎる。

 その人の食べたい量に応じて、肉の量を選べるように配慮した。クミンのスパイシーな香りで異国情緒を感じてもらうことも狙っている。

 松屋の顧客は男性のビジネスパーソンや学生が多い。にんにくが入っていることもあり、口臭を気にして昼よりも夜の需要がメインとなっている。昼は時間に追われていることから、牛めしがよく出る。

ミツカンと共同開発

 ミツカンの広報によると、同社にはメニュー開発チームがあるという。外食などにミツカンの製品を使ったレシピを提案する部署で、メンバーは5人ほど。同チームは、松屋が世界の料理シリーズで注目を集めていることから、コラボできないかと考えた。それでいくつか松屋に提案した中に、ロモサルタードが入っていたのだ。

 採用が決まってからは、都内にあるペルー料理の店を食べ歩き、現状の“松屋風”ロモサルタードに落とし込んだ。

 酢は、ミツカンの柑橘(かんきつ)系の果汁が入ったぽん酢を使用している。しょうゆが入っているタイプの味ぽんは使っていない。

 まさに、ミツカンと松屋で共同開発した商品が“松屋風”ロモサルタード。これを機会に外食向けのレシピ提案の営業を活性化させる勢いだ。

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