一人一社制にもメリットはありますが、それでも課題があるといった指摘も。それは「離職率の高さ」と関係があるのではないかという話です。厚生労働省によると、1年以内に会社を辞める人は約16%もいて、その数は毎年2万〜2万5000人ほどに達します。
会社を辞めたあと、彼ら・彼女らはどうしているのでしょうか。約39%が「非正規雇用または非就業」という実態があります(リクルートワークス研究所調べ)。もちろん、会社を辞めて非正規で働くことが悪いといった話ではなく、就活の際にうまくマッチングしていないのではないか。この仮説があたっていれば、やはり一人一社制などの仕組みを見直す時期に来ているのかもしれません。
この問題を重く受け止めている都道府県があって、2021年に和歌山県は複数社に応募できるようにしたり、22年に大阪府は1人2社制を導入したり。少しずつ広がっている中で、民間でも動きがでてきました。
新卒採用支援を手掛けるジンジブ(大阪市)は、高校生に向けて「就職合同説明会」を実施しています。学校の先生と制服姿の生徒が一緒に企業のブースを見て回る。大学生向けの合説は当たり前のように開かれていますが、高校生版がじわじわ広がってきました。
説明会に参加している企業を見ると、製造業、飲食業、IT企業などさまざまな業界が並んでいました。興味のある会社の話を、高校生がじっくり聞く。こういう場が増えれば、生徒は「自分に合っている企業はどこか?」「働くことは何か?」などを見つめ直すことになるでしょう。
いや、見つめ直すのは生徒ばかりではありません。制度設計に関わる大人たちも、時代に合わなくなった仕組みを見つめ直してはいかがでしょうか。
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