街で見かける「生搾りオレンジジュース自販機」 どういった仕組みなの? 運営元に聞いた経済の「雑学」(5/5 ページ)

» 2023年07月29日 08時30分 公開
[小林香織ITmedia]
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日本展開におけるハードル

 アイジュース社にとって、自販機になじみがあり、経済大国でもある日本は格好の市場であり、23年中に1000台、24年中に3000台の稼働を目指している。

 日本の拠点には、シンガポールから移住した従業員など20人が在籍しており、設置先の拡大に伴い、雇用も進める予定だという。設置台数や売り上げ拡大のハードルを尋ねると、「ロケーションを見つけることだ」とリ氏。

上野のアメ横商店街にも導入され、2台が置かれている(提供:アイジュース社)

 「反響は大きいのですが、知名度はまだ十分ではありません。こちらから積極的に営業をかけて、適した場所を見つける必要があります。人材ももう少しほしいところ。設置先には10%のバックがあり、利用者に利便性を提供しながら新たな収入源にもなります。良い条件であり、交渉しやすいと考えています」(リ氏)

 消費者視点だと他の自販機やコンビニなど、さまざまな選択肢があるように思えるが、あまり競合の存在は意識していないと守木氏は言う。

 「搾りたてのオレンジジュースが低価格で24時間飲めるという優位性は、一般的な自販機やコンビニにはありませんし、完全に競合とは捉えていません。むしろコンビニ内にアイジュースを置くなど、コラボレーションができるかもしれません」(守木氏)

 今後、アイジュース社は韓国やドバイなどにも進出予定であり、最終目的地として見据えるのが米国だ。すでにカリフォルニアやシリコンバレーでアイジュースを稼働させているが、さらに市場シェアを拡大し、3〜5年以内に現地でのIPOを狙う。

リ社長は今年2月に日本に移住してきたばかり。英語で展望を語っていた(筆者撮影)

 日本では、先に上陸したフィードミーオレンジがすでに約400台を稼働しており、リピーターが付いてきているようだ。とはいえ、アイジュースには280ミリリットルで350円と価格帯にメリットがあり、週末に行列ができる場所もあるとか。

 今後、両社の動きが気になるところだが、いずれにしても生搾りオレンジジュース自販機の設置場所が増えれば、ちょっとリッチで健康的なジュースとして浸透していくかもしれない。

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