そば大衆店はどこに行く? コロナで駅そば苦戦 大戸屋やすかいらーくがロードサイドに続々出店長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/7 ページ)

» 2023年07月31日 14時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

すかいらーくグループはメニューが豊富

 すかいらーくグループは、コロナ禍で特にガストなどの総合ファミレスの落ち込みが激しかった。一方、ハワイアンカフェ「ラ・オハナ」、郊外型喫茶「むさしの森珈琲」、しゃぶしゃぶ「しゃぶ葉」などといった専門性の高い店は好調。

 そこで、専門性の高い新業態を積極的に開発して出店している。飲茶「桃菜」は今年2月、東京都町田市内に1号店を出店して以来、首都圏で瞬く間に12店にまで増えた。

 埼玉県内に現状2店がある八郎そばは、桃菜ほどの爆発的な勢いはないものの、健康志向や高齢化に対応した日本そばの業態であり、全国規模での出店が期待できる。

 1号店の白岡店は東北自動車道・圏央道の久喜白岡JTC近く、2号店の南荻島店は文教大学越谷キャンパス近くの国道4号線沿いにある。どちらも「ステーキガスト」の跡地に入居した。

八郎そば南荻島店

 八郎そばのコンセプトは“今日は旨いめしを腹いっぱい食べたい”だ。店名の由来は、末広がりで縁起の良い「八」と、良い場所を意味する「郎」の文字から、食事によって幸せな気持ちになりますようにという願いを込めたとのことだ。

肉めしや丼もある

 麺は、自社工場で製造した「二八生そば」を使用。味、香りの強い挽(ひ)きぐるみ粉を使い、製麺時には気温や湿度に合わせて水温を調節して最適なそば生地をつくる。また、生地をゆっくりと薄く延ばすことで、歯切れ良くしなやかな麺に仕上げたという。この麺に到達するまで、切り幅や厚みを見直し、何度も試作を繰り返した。

 ガストに倣って、水やお茶はセルフサービス。注文は席に設置されたタッチパネルで選ぶ。配膳には、ネコ型配膳ロボットが活躍している。

大海老天二八せいろ(1000円)、写真は大盛り+50円

 ユニークなのは、セルフで「そば湯バー」が利用できること。八郎そば独特のサービスである。なお、ドリンクバー、スープバーは設置していない。

そば湯バーが設置され、セルフでそば湯が楽しめる

 メニューは、二八生そばの「大海老天二八せいろ」(1000円)、つけそばの「具沢山!豚つけ汁そば」(950円)、丼の「特製ロースカツ丼 スープ付」(850円)などをそろえた。そばと丼のセットもある。

 そればかりか、牛すじやみすじなどの牛肉を店舗でじっくり煮込んだ「特製肉めし」スープ付(1000円)も販売。「かつや」系列の新橋「肉めし 岡もと」の料理を彷彿(ほうふつ)させる。

肉めし、スープ付(1000円)

 熱々の鉄板で辛味噌を溶かしながら食べる方式で、豚肉とキャベツなどの野菜を炒めてにんにくを効かせた「鉄板焼肉定食<豚ハラミ&豚ロース>」(1000円)は、博多の名物料理を想起させる。白岡店のみの販売。

鉄板焼肉定食[豚ハラミ](1050円)。白岡店のみで提供

 このように、メニューの種類が豊富で、そばにプラスして丼や定食も幅広くそろえた店となっている。顧客単価は1000円前後と目され、そば屋としてはやや高いが、ファミレスとしては安価だ。

 顧客層は、ファミリーやシニア層が中心。

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