今回の件がきっかけで、同社はいくつかのフライパンメーカーとやりとりをすることになった。フライパンは消耗品であり、通常だと1年、長くても3年で買い替えるものだとするメーカーが多い印象だという。
同社はギョーザを50年以上販売しており、常に改良を続けてきた。1997年には油がなくても焼けるギョーザを開発している。料理をする人が減りつつあり、油を常備していない家庭が増えていると分析。油がなくてもギョーザを家で焼いてもらいたいとの狙いで開発した。
現在の冷凍ギョーザは2012年にリニューアルしたものだ。ギョーザの皮に「羽根の素」が仕込まれているのが特徴。加熱すると羽根の素が溶け出し、適度な水分で蒸し上げる。水分が蒸発した後、ギョーザの底面にとどまると、きつね色のパリッとした羽根に変わるという仕組みである(出所:味の素公式Webサイト)。
このように、ずっとギョーザの研究・開発を重ねてきた。フライパンの使い方は人それぞれで、使用頻度などによってコーティングの状態も異なることは把握していた。しかし、そんな同社の想定を上回る使い込みをしているフライパンが存在することが大きな驚きだった。
現在、集まったフライパンを分析している同社だが、今後の研究開発をどのように進めていくのだろうか。大きくは2つの方向性があるという。
まずは、使い込んだフライパンでも張り付くことなく焼ける方法をユーザーに発信することだ。「弱火で10分」方式を6月に告知したが、それ以外の方法があるかもしれない。
もう1つは、ギョーザ本体の改善だ。ギョーザ本体に仕込まれている羽根の素などを改良し、使い込んだ“手ごわい”フライパンでも上手に焼けるようにすることが考えられる。ただ、こちらを実現するのはそれなりに時間がかかりそうだという。
SNSの投稿がきっかけで、意外な形でユーザーと直接つながった同社。今後、どういったギョーザを開発していくのだろうか。
【訂正:2023年8月8日午後1時、一部表記を修正しました
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