ローソンは8月1日、北海道稚内市に初出店した。「稚内栄五丁目店」「稚内こまどり五丁目店」の2店舗を同日午前8時にオープン。報道によると、稚内市で営業するコンビニはセイコーマートだけで、全国大手のコンビニは100キロ離れた地にしかなかったという。
開店前から両店舗には100人を超える行列ができて、午前5時半から並んだ人もいた。店内にはレジ待ちの行列もできた。店舗の入り口には鮮やかなアーチが設置され、お楽しみ福袋を販売するなど、全体的にお祭りムードだったようだ。
オープンした2店舗の店舗面積はいずれも242平米で、一般的な郊外型店舗よりやや広くなっている。通常のローソンと同様に約3500アイテムの品ぞろえとしており、成城石井や無印良品の商品も販売。コンサートのチケットやグッズの購入、各種料金の支払いに対応したマルチメディア端末Loppi(ロッピー)や、ATM、ゆうパックなどのサービスにも対応している。
ローソンの店舗は全都道府県にあるが、進出していないエリアは存在する。稚内はその一つだった。ローソンは国内最北の店舗をオープンするためにどういった工夫をしたのだろうか。同社に取材した。
稚内市に進出するまで、ローソンの最北端の店舗は北海道雄武町にあった。稚内市の新店舗へは、雄武町と同じ物流網で商品を配送している。
安定して商品を供給するために必要だったのは物流対策だ。例えば、稚内市の店舗では、商品在庫を保管するスペースを通常の約3倍にしている。こうすることで、1回の配送量を増やすことが可能となるだけでなく、商品在庫を多めに持つこともできる。
冷凍食品売り場も充実させている。通常店舗は冷凍平台ケース2台だが、稚内市の店舗は4台だ。物流が滞った場合でも、在庫がある限り商品を供給できる。
店内で調理した弁当、おにぎり、総菜などを提供する「まちかど厨房」を導入したのも、物流問題の解決を狙っている。店舗で米を炊き、冷凍状態の原料を使用するメニューが多いため、必要な時に必要な数量を製造できるメリットがある。仮に悪天候で弁当などが届かなくても、自店舗で調理した弁当で補える。
ちなみに、北海道エリアのローソンでは、特にまちかど厨房に注力しているという。これは筆者の推測だが、北海道で高い知名度を誇るセイコーマートでは多くの店舗で店内調理したおにぎりやかつ丼などを扱っており、住民から支持されている。コンビニで店内調理した弁当を買う行為が定着していることも、戦略の背景にあるのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング