世界各地でシェアオフィスを提供するWeWork。2010年2月の創業以来、リーマンショックからの世界的な経済の回復とコワーキングスペース需要の拡大という2つの追い風に乗ってグローバルに事業規模を拡大し、多くの投資家から資金調達している。
中でもよく知られるのはソフトバンクグループ会長の孫正義氏だ。WeWork創業者のアダム・ニューマン氏にほれ込み、44億ドルの出資をたった12分の社内見学だけで即決してしまったというエピソードは極めて印象的だ。
孫氏がソフトバンクGを通じてWeWorkに出資した金額は、最終的に100億ドル程度まで膨らんだ。しかし、相次ぐ不祥事と無謀なビジネスモデルによって、同社の経営は風前のともしび状態である。
WeWorkの時価総額はソフトバンクGが出資した100億ドルよりも小さくなっており、今や3.24億ドルにまで落ち込んだ。同社の株価は上場から3年足らずで66分の1になり、20円程度で取り引きされ、上場廃止の危機にひんしている。
同社が上場するニューヨーク証券取引所では、終値ベースで株価が1ドル未満の状態が継続すると日本でいう「継続疑義」状態になり、半年後も1ドルを下回っていると上場廃止になりうる。WeWorkが上場廃止を回避するためには、少なくとも23年中に株価を7倍にしなければならない。
しかし、孫氏がWeWorkへの投資について「人生の汚点」と諦めムードである以上、そのようなウルトラCに期待することはできなさそうだ。今回はそんなWeWorkの事例を教訓にすべく、歴史を振り返りたい。孫氏はなぜ、判断を誤ったのだろうか。
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