そごう・西武の労働組合は8月31日、事前に通告していたストライキを予定通り実施した。これに伴い池袋本店(東京都豊島区)が全館臨時休館となった。本店がある池袋駅前では、組合員がビラを配布し、ストライキに理解を求めた。
親会社のセブン&アイ・ホールディングスは2022年11月、そごう・西武の株式を米投資ファンドに売却すると方針を示した。これに対し労組は「雇用維持と事業継続に確証が持てない」と反発。情報開示などを求め、協議を重ねてきた。労組からの反発もあり株式譲渡は延期となっていたが、労組側の主張によると、親会社は6月に豊島区と西武鉄道に事業売却について説明したのち、8月に4度の団体交渉を行ったのみで株式譲渡の方針を決めたという。
経営陣の対応を受け、労組側はストライキを予告。前日まで協議を重ねたものの、経営陣の方針に変更はなかったことから交渉は決裂し、国内の百貨店としては61年ぶりのスト決行に至った。
組合側は「駅利用者や来店者にご迷惑をおかけし申し訳ない」と謝罪しつつ「8月に団体交渉を4回行っただけで株式譲渡完了(クロージング)は時期尚早。本店には取引先の従業員含め1万人が従事している。取引先の従業員やその家族のことを考えると、より丁寧な進め方が必要だ」と主張している。
組合側のスト実施に対し、そごう・西武の田口広人社長は「株主の交代に伴う、雇用維持と事業継続については、引き続き親会社のセブン&アイ・ホールディングスならびに新株主と協議を重ねていく」とコメントしている。
小売・流通アナリストの中井彰人氏は渋谷の東急百貨店東横店の閉店や、新宿の小田急百貨店の減床を例に挙げ、他店では「経営陣と従業員側で話がついていた」と解説。一方で、セブン&アイHDは「売却後の雇用について明言しておらず、ストライキという最終手段を取らざる得ない状況を作り出した」とし「会社のイメージダウンは避けられない」と指摘している。
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