セブン&アイ・グループの百貨店そごう・西武が売却され、その売却先がヨドバシ・ホールディングスと連携する海外ファンド、フォートレス・インベストメントに決まったことが公表された。
そごう・西武の旗艦店といえば国内百貨店でも有数の売り上げを誇る西武池袋であり、その店がヨドバシカメラを核店舗とした商業施設に替わるという予測が報じられると、賛否両論が巻き起こっている。
その店舗不動産の一部を所有する西武ホールディングスや、池袋のある豊島区の区長も、池袋から百貨店が減ることに関しては、望ましくないという意向を表明している。この店が今後、どのような形になるかはまだ確定してはいない。
フォートレス側もまだ公表できる決定事項はない、として方向性について示してはおらず、これから紆余曲折があるのかもしれない。
個人的な思い出話になるが、はるか昔、自分が小さい子どもの頃(昭和40年代)、豊島区の社宅住まいだったわが家の休日は、西武池袋店に買い物に行くのが定番だった。
親に連れられて、バスに乗って池袋駅に行き、母親が買い物をしている間、買い物なんかに興味がない子どもたちを、父が西武の広い屋上遊園地に連れていき、そこで遊んで待っていたというぼんやりした記憶がある。
子どもにとっては、屋上から一つ下がった階にあった(と思うのだが定かではない)大食堂で、ご飯に小さい旗が立っているお子様ランチを食べて帰る、というささやかな楽しみもあった。当時、街にファミレスも回転寿司もなかった時代であり、子どもが外食に連れて行ってもらえる機会は多くはなく、子ども心に池袋西武はアミューズメントパークのようなものとして記憶に残っている。
今、百貨店から屋上遊園地はなくなり、大食堂のようなレストランもほとんど見かけない。大衆ファミリー層が訪れなくなった百貨店は、極端に言ってしまえば、中高年レディスファッション、化粧品、インバウンド需要(コロナ期は消滅していた)、もしくは富裕層への外商に支えられた偏った店になった。
駅ターミナル、中心市街地の一等地に陣取っていながら、そこを通る人流の若年層、大衆ファミリー層が買い物をしない大型商業施設という、いびつな存在が今の多くの百貨店の姿でもある。
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