新iPhone発表間近 新機能・性能より注目していること本田雅一の時事想々(3/4 ページ)

» 2023年09月12日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 最高品質の素材を高精度に組み立てた本体は、ものづくりに携わっている人ならば、驚くべき品質と感じるはずだ。継ぎ目の少なさや段差の少なさ、金属加工の精度、仕上げの美しさなどは無印のナンバーシリーズでも十分に高いが、Pro/Pro Maxはさらに突き詰めた美しさを誇る。これだけの仕上げを持つ製品が、世界でベストセラーになるほど大量に作れるのは驚異的だ。

 またスマートフォンに必要となる半導体技術を自社設計し、半導体に組み込んだ処理回路とソフトウェア技術を組み合わせることで、体験価値を高めるアプローチもライバルがなかなか追い付けない部分だろう。

 その典型的な例が内蔵カメラだ。内蔵カメラなど半導体技術、カメラの光学設計やセンサー、ソフトウェア処理などが深く結び付く機能は、3年以上前からコンセプトをまとめ、それぞれのジャンルで必要な技術要素を作り込んでいる。しかも毎年のように少しづつ進化し、数年後に振り返るともう過去には戻れなくなる。

photo iPhone 14 Proのカメラ=ニュースリリースより

 iPhone独自チップが内蔵する推論エンジンや機械学習アクセラレータなどは、静止画や動画内の文字を自動的に認識してテキストデータに変換し、留守電の音声を文字に起こして画面上で見せてくれ、ユーザーの声にそっくりな自動音声を生成して応対させる──といったように、キーボードや音声認識の精度を向上させている。

 全て今年より来年、来年より再来年、質が向上し、過去の端末よりも最新端末のほうがよりよく高精度に動作する。

 ユーザーインターフェースや各種機能(例えば昨年導入されたダイナミックアイランド)も、それぞれ大きく目立って端末を進化させているようには見えなくても、一貫して洗練を続けることで体験価値を高めている。

 同様の取り組みをライバルが怠っているわけではないが、一貫した取り組みの中で洗練度を上げていくことで、新しい性能や新しい機能といった、従来のテクノロジー製品で重視されてきた評価軸を吟味する必要がないほどに、信頼できるブランドとして定着してきたということだ。

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