新iPhone発表間近 新機能・性能より注目していること本田雅一の時事想々(1/4 ページ)

» 2023年09月12日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 日本時間9月13日午前2時から、毎年の恒例となっている新型iPhoneがアップル本社のスティーブ・ジョブズシアターで発表される(iPhone 15およびiPhone 15 Pro、そのバリエーションモデルと推察されている)。

 “スマートフォンの時代”をiPhoneが引き寄せてから、すでに15年以上が経過しており、スマートフォン製品は十分な性能、機能、品質を備えた成熟したジャンルになっている。そのため黎明期のように誰もが毎年買い替えたくなるような、大幅に体験レベルを一新することは期待できなくなってきている。

 しかし、もはや生活の一部となっているスマートフォンの中でも、iPhoneの販売比率が高い日本市場では、テクノロジー産業だけではなく消費者にとっても大きな関心事であることに変わりはないだろう。

photo 昨年発売されたiPhone 14=アップルの公式サイトより

 今年は2012年から使われ続けてきたアップル独自の接続端子(Lightning端子)が業界標準のUSB Type-Cに変更されるほか、主要な機能を実現し、体験の質を高めるシステムチップ生産の技術レベルが一段上がるなど、技術面での変更点がいくつか見込まれている。

 もちろん、今年も内蔵カメラの進化は大きなものになりそうだ。iPhone 11世代から始まった内蔵カメラの大きな進化(コンピュテーショナルフォトグラフィの本格導入)が始まって5世代目となるが、なおも大きな写真体験の向上があると見込まれている。

 バッテリー駆動時間に関しても、大きな進歩が見られると予想される。ここ数年、少しずつバッテリー駆動時間は伸びているが、実利用時に最も必要とされる指標の一つだけに新しいバッテリー技術の導入が期待されている。

 それらはいずれも、数世代前からのiPhoneユーザーが新しい機種を選ぶ際に、再びiPhoneを選択するモチベーションとなるだろう。

 しかし個人的に今年の発表イベントで注目しているのは、成熟が進んだスマートフォン業界におけるiPhoneを、アップルがどのように“ブランド品として”より高みに引き上げるのかについてだ。その点では同時に発表すると思われるApple WatchおよびApple Watch Ultraも重要な切り口となる。

 iPhoneを切り口に起こしてきた連鎖的なイノベーションは、携帯電話だけではなくさまざまなエレクトロニクス製品に影響を与えてきた。しかしその連鎖反応も落ち着き、アップルが生み出そうとしている顧客価値も少しずつ変化しているからだ。

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